ジュビアが首を振った。がくりと床に両手を突く。
「ジュビア、気絶していてグレイ様のパンツ争奪戦に乗り遅れました……」
「誰も争奪してないわよ!」
事実をぐにゃぐにゃに捻じ曲げた発言にルーシィの頬が引き攣る。
落ち込んでいたように見えたジュビアは即座に立ち上がった。誇らしげに胸を張る。
「でもジュビア、グレイ様のパンツはもうすでに入手しています」
「はい!?」
「こうして袋に密封して」
「持ち歩いてるの!?」
どこから取り出したか、透明な袋には綺麗に折りたたまれた布が入っている。広げてみないことにはそうであるのかどうかはわからなかったが、わざわざ確かめてみたいともルーシィは思わなかった。
ジュビアが袋をルーシィから遠ざけた。
「そんな物欲しそうな顔をしたってあげませんよ」
「要らないわよ!」
ジュビアの後ろにぬらりと影が立ち上がった。
「ほぉう……」
グレイだった。黒い髪にまだそうめんがくっ付いているが、服は着ている。
「没収だ。つか返せ」
「ああっグレイ様!」
袋を素早く奪って、グレイは遠い目をした。
「マジでオレのじゃねえかよ」
「冗談とかじゃないのね……」
「オレは今痛烈にこの脱ぎ癖なんとかしなきゃなって思っている」
ジュビアが瞳を輝かせた。
「そ、それって……ジュビアがグレイ様を変える!?」
「うわあ」
「この前向きさをなんかのエネルギーに利用できねえかって思うよな……」
グレイはがくりと肩を落とした。