「おいルーシィ聞いたか?ルーシィって名前のモンスターが出たらしいぞ」
「……」

これを聞くのは今日何回目だろうか。
ルーシィはむすりとして頬を膨らませた。グレイに罪はないのだが、睨み付ける。

「なんだ?あ、もう知ってたか」
「知ってたっていうか、原因を知ってるわ」
「原因?」

新聞に小さく載ったその記事には、モンスターが出たのは件の村だと書いてあった。しかもモンスターを見た者は居なく、ただ記者が村人の証言をまとめた手記のようなものだった。どうやらあの村ではルーシィはモンスター扱いされているらしい。
不思議そうな顔をしたグレイにナツ指名だった依頼の顛末を説明すると、彼はいかにも楽しそうに笑った。

「ぷっはは、なんだそれ!」
「ちょ、笑いすぎ!」
「しっかしモンスター化かよ。相変わらず噂話に尾ひれが付くな、ルーシィは」
「ホントよね……」

がくりと肩が落ちる。そこへ、ナツが慌てた様子で駆け込んできた。

「おい、ルーシィ!ルーシィってモンスターが居るんだってよ!見に行こうぜ!」
「……」

間違いなく元凶のナツは、自分の所業をすっかり忘れているらしい。ルーシィはこめかみの血管が動くのを感じた。

「どんなんだろうな。オレ、飼っても良いかな」
「飼うってアンタね……」
「お前が飼われてんじゃねえのか、ナツさんよ?」
「あ?」

グレイはナツをからかう姿勢でにやにやと口元を歪めている。きょとんとしたナツが小憎らしくて、ルーシィは否定してやらずにそっぽを向いた。






飼った覚えもないけれど。


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