「ほら、あれ」
エルザにルーシィの注意を引き付けて、ハッピーに指示を出す。タライを指差して上を示しただけのそれを、ハッピーはちゃんとわかってくれた。さすがオレの相棒。
へっへっへ、ルーシィ。お前勘良いな。もちろん、お前に仕掛けるに決まってんだろ!
ルーシィのリアクションが一番面白い。それにルーシィはどんなことしても絶対許してくれる。みんなそうだけど、やっぱり怒ってから笑うまでの時間が短いんだよな。仕方ないなとかなんとか言いながら、めちゃくちゃ楽しそうな顔で笑うんだ。
そういうの、良いだろ。オレらの全部、受け止めてくれてるみたいで。
タライを抱えたハッピーが、ルーシィの後ろに回ってく。よし、そろそろ良いか。
「あ、なんでもなかった。エルザがシャルル食ってると思ったけどケーキだった」
「なんでそんな見間違いするの!?」
「どっちも白いだろ」
「色だけで判断するな!」
今は違うけど、この前、ホントにそう思ったんだよなー。エルザってケーキよく食ってるけど、やっぱ肉食うイメージの方が強いんだよ。肉食わねえ奴があんな強いわけねえもんな。肉食って言葉があんなに似合う女もいねえし。
ん、ハッピー、スタンバイオッケーだな。オレは見ないように見ないようにっと。タイミングはハッピーに任せちまおう。ファイアパスタの続きでも食って……多分二口目くらいに、ごーん、だな。
いっ!?
「うぉおお!?」
何だ!?痛ぇ、なんかチクッとした!いあ、ビリッとした?いてててて、何だこれ!くそ、なんかぶつかった、痛ぇ!酒臭ぇ!
え?ちょ、かみな……
「ふぎゃああああ!」
ラクサスの野郎……手加減しろっての……。