「あい?」

半分以上意識が飛んでいた。ナツが叩かれたような音にはっとして、自分が夢うつつに近かったと気付く。
ハッピーは振り返ってみて、直感が正しかったと知った。ナツは左手で頬を押さえているし、ルーシィは右手を振り下ろした体勢で彼を睨みつけている。

「どうしたの?」
「なっ、なななっ、なにしてんのよ!?」

ルーシィは後退りながら胸を両腕で庇った。こちらに答える余裕もなさそうに見える。
ハッピーはナツに目で尋ねたが、彼とも視線が合わなかった。頬を撫でさする左手はそのままに、右手を見下ろしている。

「なんか……触って良いと思った」
「はあ!?」

どうやらナツがルーシィの胸を触ったらしい、と悟って、ハッピーはにやりと口角を上げた。しかも事故ではなく、意図して触ったらしい。まったく、昼間のこんな街中で何をやっているのか。これをどう思うか、ギルドの仲間達の意見を聞かねばなるまい。
ナツはどことなく消沈した様子で零した。

「オレんだと、思ったんだよ」

ルーシィがびくりとして固まった。赤い顔がさらに真っ赤になって、唇が震える。

「そ、それは……その……」

あれ?

反応が不自然だ。彼女なら『そんなわけないでしょ!?』と一蹴していておかしくない。
もしかしたら、意味が伝わっていないのかもしれない。ハッピーは相棒として翻訳を試みた。

「ナツのって、ルーシィがナツのモノみたいじゃないか」
「っ……」
「モノまでは言ってねえけど」
「恋人同士っていうならわかるけど、その発言はないよ」
「……」
「……」
「あい?」

無言しか返ってこない。
自分が寝かかっている間に起きた変化にハッピーが気付いたのは、もう少し風の音を聞いてからだった。






みんなに知らせなきゃ!


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