いま胎児に還る(斎藤) あの人と再び会うためだけに。 それだけ、に。 老いてゆく英雄(島田) 英雄は、老いるまでに皆、死ぬのです。 ぶつり、ぶつりと軋んだ記憶に(沖田) 名をつけるならば、深紅。 触れておしまいにしよう(伊庭) 「オイラ、トシさんと寝た事あるんだよ」 詰まらない冗談を商人の女に笑いながら言ったのは、昨夜の事のようだ。 朝にはそれはそれは囁かれるように。 「伊庭…なんか俺ら皆からジロジロ見られてねぇか?」 「いつもの事だろ、オイラたち顔が良いからネ。そうだ、手ェ繋いで歩こうか」 「バカ言ってんじゃねぇよ」 全くバカじゃないさ。 見せ付けるように抱きついたり。ワザとそういうフリをしてみたり。 町中はその有様を目に焼き付けてくれればいいんだから。 噂は便利で早いね。 そんな噂も、オイラは全然構わないよ。 あかいボンボン(沖田) 垂れるや、紅色。 滴る、朱色。 うつらうつらにくるりと地回り。 ひと跳ね、ワラウ。 ふた跳ね、カナシ。 み跳ねで蹴り上げ、鞠つきタノシヤ楽し。 らん、らん、ら、らら 鞠は人の 人の顔の ら、ららら、らら 階段転げる鞠は無し ひとの、く、び。 最近見た夢(沖田) 人間という全てを殺した。 ――私が。 口ぐせ(沖田+土方) 「粛清命ずる」 「はい」 「介錯命ずる」 「はい」 何にしたって、頷き、行動を進んでしなければならない様でした。 それしかなければ、 意思表示は一つしかなく。 ――便利だな、と。 最長睡眠時間(沖田) 死ねばいい。 妄想、好き?(沖田) 足首、ゴトリで逃がさない。腕がゴトリで、反撃させず。 涙の粒をゆっくり数え、 首を落として心臓貫き。 これは何の遊びやと。 痛い 痛い 痛い イタイと必死に叫んでいる人間というモノが、私は堪らなく大好きなのだ。 大好き、なのだ。 堪らなく、大好き、なの、だ。 理想の死に方(沖田) 笑って紅に染まる事。 ← ×
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