手がちぎれそうな位に(斎藤) ちぎっても ちぎられても ちぎられようと あんたが還って来てくれるのなら、 俺は喜んで食らうとも。 たかが、腕一本。 あれが愛と云うんだって、(沖田) 「これも愛と云うんだって、一君」 合わさった手の感覚と、合わさった胸の記憶。 なんだ、――いつもと変わらない。 嘘吐き同士は浅い浅いキスをする(相生) 汗で、ベタついた。 夏でも、 ないのに。 悦に入ってにやけた汚い苦笑の、(土方) 嫌いだ、 見るのも 魅せられるのも。 さよならとあいしてるの間(斎沖) 「殺したい、でしょ」 変な事を聞いてきた一君に、変な返事を返しました。 彼は驚かなかったけど、刀の柄を握って。 私は驚かなかったけど、静かに目を瞑って。 殺されたい、 それが答えだったんだと 思ふ。 このまま埋もれてしまえ(山南+沖田) 悲観な気持ちをこの世の数で数えるならば、数珠の珠など値に知れず、死者の花より重いもの。 恨み、と云って。 「ごめんなさい、山南さん」 泣いて謝って、一束の花を墓に差し向けた。 その震えた手をふいに捕まれ握られ、貴方は言う。 「総司、花を有難う。でもね、君は後5年も生きられないんだよ」 ドスグロく腐れた骨の見える手は、シッカリと土から出ていたのだ。 随分と立ちすくんでいた(原田) 血が綺麗なものでして。 これが最後になります(斎藤) 死ぬまであがいてみようかと思った。死ねなかった。 納得いくまであがきたかった。死ねばよかった。 今をいつだと思ってる、 もう明治だ馬鹿野郎。 最後に信じた思考回路は(平助) 手足が宙で弧を描いた時には、思わず助けて、そう叫びました。 叫ぶだけ無駄、って事です。 それほど好き、ってことなんで(土方+沖田) 「どうだ、この生菓子は格別にうまいだろ」 「はい、とってもおいしいです」 「特別に頼んでやったんだからな」 「土方さんが?」 「そう、俺が」 「珍しいですねぇ。土方さんが生菓子買ってくるなんて」 「それはだな、お前のタメ「あ、一君!」 巣立って行った小鳥、巣に帰らず。 ← ×
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