怠け者の節句働き(沖田+土方+斎藤) 「いいですよねぇ、一君は元旦生まれ。土方さんは端午の節句生まれ。どちらも物忌みの日だから、さぞかし生誕を家族からたっぷり祝われたんでしょうね。私は夏生まれだけど七夕の日でもないし、はーあ…」 「沖田さん…俺、実は一月二日生まれなんです」 「一人だけなに助かろうとしてんだ斎藤!」 逃げるが勝ち(永倉+斎藤+芹沢) 「逃げるは卑怯だと思っていたが…永倉さんみたいに。芹沢さんが鬼だった場合、逃げないと捕まったら殺される」 「"永倉さんみたいに"は余計だが、一の意見には同感だ」 「逃ぐるも一手と言うしなぁ」 「「ギャアアア芹沢さんんん!!」」 (※例の鬼ごっこ中) 人間万事塞翁が馬(惣次郎+近藤) 「近藤先生、幸せが不幸の原因になったり、不幸が幸せの原因になったりするんでしょ?だから、嬉しいことがあったら私は喜んではいけないのですか?」 「なに言ってんだ惣次郎、嬉しかったら笑う!悲しかったら泣く!人間それでいいんだぞ」 「でも…」 「なァに、難しいことは考えるな。考えたってどうにもならん」 念には念を入れよ(土斎+永倉) 「夜は真っ暗だから浪士の不意討ちに気を付けろよ?いいな、斎藤。怪我して帰ってきたら許さねぇからな?」 「はい、副長…(きゅん)」 「ねぇねぇ土方さん。その言葉かけさ、俺にも言ってよ!」 「…なんで?」 「えっ!?なんで!?」 能ある鷹は爪を隠す(土方+服部) 「そちらの先生は何時本性を出してくるのか…全く、毎日ヒヤリとさせられては寿命が縮む」 「そちら、とは酷い話ですね、我らは同じ志を持つ者ですよ?貴方の寿命が縮むだなんて…それは此方の台詞かと。鬼の副長様はたくさんの命を片手に掌握していると、そうお聞き致しておりますので」 「…まぁ、否定はしませんが?」 「それに、伊東先生は貴方みたいに威厳を丸出しにして、見せびらかしたりなどは一切しない御方です。能力ある鷹は普段は爪を隠すと言うでしょう」 「巧みに弁舌をふるっている姿から、とても爪を隠しているとは思えませんな。実際、鷹は普段から爪を出している生き物です。見せびらかしているのはそちらでは、」 「さすが野育ちは視点が違いますね」 「今のは褒め言葉と解釈しても?」 「"能無し犬は昼吠える"。どうぞ、この言葉をお褒めの言葉としてお受け止め下さい」 「有難く頂戴してェが熨斗を付けて返すぜ。その言葉、あんたの方がお似合いだ」 「農民上がりの山猿がまあ御丁寧に。副長様からの熨斗付きの贈り物ならば、貰わないわけにはいきませんね」 「…いちいちウザッてェな」 「品のない汚い言葉だ。副長ともあろう人が大人の会話も出来ぬとは…。到底伊東先生の足元には及びますまい。それに、無理に武士の皮を被ったような片言を話されても、私には理解できませぬゆえ」 「品がなくて上等だ。あんたは柔らかい言葉とは裏腹に、俺を殺してェと思ってる本心が透けて見えるぜ?遠回しにくっちゃべってねェでハッキリ言えってンだ。上品はこれだから殺してェほど嫌いなんだよ」 「私も、貴方のことは殺したいほど大嫌いですよ」 残り物に福がある(永倉+斎藤) 「永倉さん、………おまんじゅうあげます。残り物ですけど…」 「んん、…まぁ、ありがとよ」 「残り物には福があります」 「お前…なんか今日はアレだな、やけに親切だな?」 「だってそのおまんじゅう、源さんが原田さんに見つからないように隠して、そのまま忘れて…カビはえたんです。親切にすれば永倉さん食べてくれると思って…。だって、捨てるの勿体ないじゃないですか」 「勿体ないじゃないですかって俺が腹壊すじゃないですか!お前が優しいと思えばいつもコレだよ!お前は俺を弄んで楽しいんですかこの野郎!ついでに聞くがこの饅頭は元々何色だったんだよ!?」 「白でした。」 「今みどり!」 喉元過ぎれば熱さを忘れる(平助) 過ぎ去れば、どうってことはない。古傷を見ればキリキリと胸が痛むだけで、少しだけ色濃く昔を思い出すだけだった。そして少しだけ手が震えた。 それを知っていたのか、一は一晩中僕を抱き締めてくれたことがあった。 「泣いていいよ」 「…うん」 「泣けないくせに」 だったら何で泣いていいよだなんて、 (でもそういう生意気なところも大好き。) 腹八分目に医者要らず(吉栄) 「八分目がわからへんのやもん…」 百年可清を俟つ(服部→←斎藤) 「斎藤君が欲しいけれど、この望みは叶わないだろう」 「こんなに近くにいるのに…ですか?」 「うん、近くにいるのに。」 「こんなに、愛し合っているのに、ですか?」 「うん、愛し合っているのに。…なんだか、難しいね」 覆水盆に返らず(土方) 二度と元に戻らない。 寵愛しても紐に繋いでも牢に閉じ込めても殺しても。 そして、掬うても。 ← ×
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