積善の家には余慶あり(山口家) 「全く…あの馬鹿息子は文も寄越さず何をやっとるか…!」 「お父様、一さんは京で一生懸命なのよ。分かってあげてください」 「勝、お前は弟に甘い!あいつは山口家に泥を塗ったも同然。人を殺めるなど…御先祖様にどう説明すれば良いか分からん…!」 「あなた…そんなに怒らないで…勝の言う通り一は一生懸命にやる子です」 「そうですよ、父上。…確かに人を殺める事はよくありません…。しかし致し方無いこともあります」 「廣明も一を庇うでない。致し方無いことはこの世に存在しないに決まっておる!」 「大いに存在しますよ?例えば閻魔大王のような父上の顔は十分致し方無いかと」 「なっ…なにィ!?」 「御先祖様も一のこと、きっと許してくれています。だって閻魔大王みたいな顔を持つ父上も許されてるようなもんですし」 「ぷっ…!やだわ廣明ったら…!お母様、わたし…」 「ふふ…勝、笑っちゃダメよ…!」 「くっ……!マスも勝も笑うなァァァァァ!!!」 「ここは父上の閻魔大王顔に免じて一を悪く言うのは無しにしましょう」 「ほらお父様、廣明もこう言ってくれてますし…」 「…ふふっ、確かに顔は閻魔大王だけど、嫁に来てくれって言われた時の顔は閻魔大王じゃなかったわよ…ふふふ、」 「是非とも父上と母上の馴れ初め話を聞きたいです」 「っ…廣明ィィィィィィ!」 善悪は人にあらず自らの心にあり(永倉+斎藤) 「おめェは何で毎回毎回オレに突っ掛かってきやがんだよ!」 「突っ掛かってませんよ」 「突っ掛かってンだろ!その態度からして!」 「いいえ、それは永倉さんの俺に対する気持ちが反映して、俺もそうした行いになるのです」 「俺がいつテメーに嫌なことしたんだよ!」 「覚えていないんですか?…これだから永倉さんはダメなんです」 「ダメってなんだ!調子ノッてんじゃねーぞクソガキ!」 「永倉さんの心の持ち方次第で俺の永倉さんに対する接し方も変わります」 「はぁァ!?」 「…永倉さん次第ですけど?」 「……悪かったよ、」 「ペッ(唾吐きかけ)」 「…てンめぇぇえブッ殺してやる…!!」 前車の轍を踏む(芹沢+土方+近藤) ……ツルンッ 「ギャ―――!!!」 ドタ―――ン! 「ブワハハハハ!引っ掛かったな土方君!」 「芹沢さん…あんた廊下に何を…」 「油塗っといた」 「そういう悪ふざけはよしてもらいたいのですが…」 「土方君が悪いよ、見抜けなかったんだから」 「………。」 「いやぁしかし廊下に油とは気付かぬものですな」 「…近藤さん…っ!?」 「実は近藤君が二番目に滑って土方君は三番目なんだよね、残念」 「残念って……。普通三位ぐらいまで崇められるだろ…」 「(トシ、突っ込む所がズレてる気がする。)…はて、そうなると一番目に滑ったのは誰です…?」 「この俺だよ」 栴檀は双葉より芳し(近藤+新見) 「いつ見ても芹沢さんの太刀筋は素晴らしい。学問にも秀でていらっしゃるし…昔から人並み外れて優れていたんでしょうね」 「いや、そんなこともなかったようですよ。畑から芋は盗んで怒られるわ、川遊びした挙げ句、刀を着物干し竿にするわで」 「"刀は武士の魂"なのに、ですか…?」 「まぁ本人曰く斬れればいいと、先日刀で魚切ってましたけどね」 「なんというか…おちゃめですね」 「ええ、大きい子供ですよ」 千里の道も一歩より起こる(土方+沖田) 「江戸で剣の腕を磨いておいて良かったぜ」 「だからといって道場破りをして良いとは誰も言ってませんけどね」 袖振り合うも他生の縁 ――明治43年、東京。 (この、匂い) 振り向くと、自分と同じ齢程の女が居た。にこりと笑う。此方もにこりと返す。胸が久しぶりに高鳴った。 (よかった、生きていたのだ、俺の愛した人。) もう人混みにのまれ分からなくなってしまったが、確かに匂いは其処に在った。 宝の持ち腐れ(服部→←斎藤) 「斎藤君は床上手だから陰間茶屋で働くと大出世だったろうに」 「何を言い出すかと思えば……」 「通い詰めるかも」 「…"客"は、嫌です。」 棚から牡丹餅(永倉+斎藤) 「ッう!?…ぐッ、がっは、ごほッ…ゴホッ」 「あらら、棚から牡丹餅が落ちてきて、ちょうど真下で寝てた永倉さんの大きなお口に入っちゃった」 「棒読みをやめろぉぉ!思いがけない幸運が転がり込みすぎだわァァ!窒息死させる気か!!」 「略して棚ぼた」 「うるせェェっ!!」 旅は道連れ世は情け(原田+沖田+土方+斎藤) 「一ちゃぁ〜ん…!何で毎回毎回土方さんの公用に連れられてくんだよゥ…オレら寂しいよ〜…!」 「原田さんの言う通りです!何で土方さんは絶対一君を公用に連れてくんですかっ!少しはコッチの身にもなってください!」 「うっせぇな…用心棒としてだよ、大袈裟な言い方すンじゃねェ」 「…あの、原田さんと沖田さんのお気持ちは凄く有難いのですが、これは任務ですので…」 「もォいいじゃんかよぉ〜行くなよ一ちゃん〜…。つぅかよォ、鬼の副長なんだから用心棒いらねぇじゃんよゥ…一ちゃんじゃなくて金棒持ってけばいいじゃんかぁ…」 「そうですよ!」 「お前ら俺を何だと思ってやがる…」 旅の恥は掻き捨て(土方+沖田+原田) 「周囲に見知っている人もいないからって調子にのらないで下さいね」 「そうだそうだ!副長命令出すンじゃねーぞ!」 「宿は絶対別室ですからね!一君に手を出したら許しませんよ!」 「一ちゃんに手ェ出して泣かせたら、総司の刀とオレの槍が飛んでくるぜ!」 「アアアッうるっせェ!何で俺が斎藤を襲う前提で話進めてんだ!!襲わねェェェよバ――カ!」 ← ×
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