いい加減である(加納+毛内)

「なぁ道之助、」
「漬物ならあげませんよ」
「いや、漬物はいい。早朝にポリポリ食べたから」
「早朝ポリポリ…!?…だから阿部さんがポリポリポリポリ誰だうるせーつって唐紙蹴ってたんですね…!もうっ…早朝から漬物食べるのやめて下さいよ!漬物つけるの追い付きませんって…」
「喉が渇いた」
「でしょうね!!」
「いや、そんなことじゃなくて。あ、ご飯粒を数えてみようかと思うんだ」
「もう黙って下さい…」



朧気(平助)

山南さんがね、居なくなるわけないって思ってね、僕は会いたい一心で一生懸命爪が剥がれる思いをしながら探したんだよ。爪の間に入った土は数日間取れなかった気がする。

「こんなの、山南さんじゃない」

腐敗、異臭、首なし。
これが「平助」と優しく呼んでくれる山南さんなわけないじゃない。
それを土方さんに聞くと、「それは山南さん」だと言う。冷ややかな目で、人を馬鹿にしたような顔で。


初めて、土方さんなんか死んでしまえばいいと思った。



有望(山南+平助+土方)

「どうして無茶をするんですか貴方は…」
「そうだよ、沖田さんに敵うわけないのに」
「うるっせぇな…!ちょっと足くじいただけだろがっ…!」
「くじいたんじゃなくて総司に打ち込まれたんでしょう?」
「………。」
「安心してよ土方さん。こうやって山南さんと僕が肩を貸してあげるから」
「…おぅ、すまねぇ。ありがとよ」
「土方君、聞こえませんよ。もう一回」



(服部+土方)

「斎藤君の髪は綺麗ですね、さらさらしていて…」
「アイツに触ったのか…!?」
「おや、そんなに血相を変えることですか?私が、斎藤君に触れることは」
「胸くそ悪ィだけだ…。」
「汚い言葉を吐くんですね、副長さん」



屁理屈扇ぎ(田村+斎藤)

「おい…このふざけた遊びは何だ」
「えへへ、将棋の駒を並べてるんです」
「それは分かる」
「それでですねェ、こうやって端を倒せばドンドン重なって倒れて行くんですよぅ」
「快感なのか?」
「快感ですっ!」



負荷測定(芹沢+吉栄)

「こんにちは芹沢せんせぇ」
「おう!」
「あれ、平山せんせぇおらんの…?」
「おらん。まさかのまさかで梅も不在だ。一緒に将棋でもしとくか?」
「うん!する!」
「おーし、ちょっと待っとけ。将棋の駒取ってくる。よっこらせっと…」

ビキッ

「ぬ、おおおおお!」
「何!?芹沢せんせぇどないしたん!?」
「立ち上がった瞬間っ、足っ、足があああ!つった…!」
「足つったん!?こないな時どうしたら………は、ハックショ―――イ!」
「ぎゃああああああ唾アアア!!きっちゃんの唾があああ!!」
「いやあああッ芹沢せんせぇすんまへん!ウチ芹沢せんせぇの顔に唾かけよう思てかけたわけやないんどす…!」
「き、きっちゃんは悪くないさあああ!間が悪かっただけで…ぐああああ…!」
「芹沢せんせぇ死なんといてえええ!」



需要以下の素因(阿部+沖田)

「沖田君は何かに縛られていて苦しそう」
「私が、ですか?」
「全部捨ててしまえば楽になるよ」
「"死ね"と…?」
「君、頭良いんだね」
「ふふ、阿部さん程でもないですよ」



三千里(永倉+斎藤)

「永倉さん暑苦しい。江戸に帰って下さい」
「暑苦しいだけで江戸に帰れって…俺おまえに何か悪いことしたか…?」



処断等(沖田+吉田)

無惨にも槍が畳へと突き刺さる。
沖田は笑った。笑って足元のピクリともしない屍を蹴る。ゴロンと転がり、僅かに道が出来る。畳は既に赤色であったが、目の前で踞る男は割腹をしたばかりでもある。

「致命傷は避けてあげたのに、切腹するなんて馬鹿?」
「う、…るさい。捕まる方が、…無様だ」

渇いた咳をして横たわる。ぐだぐだと血は出続ける。

「松陰先生の…夢、叶えられなかっ…た」
「くそつまらない夢なんて叶えない方がマシ。そして貴方はここで死ぬ」
「…幕府の…クズ共めが…」
「介錯はしませんから。さっさと無駄死にでもしてて下さい」


(本当に死ぬのだな、)
互いにそう思っていた。



翳して見れども(篠原+阿部)

「悪霊退散ンン!」
「…どうしたんですか篠原さん。キリシタンの数珠みたいなやつ持って…」
「いや、弥兵衛が毒舌な阿部君には悪霊が絶対憑いているって言ってねぇ」
「とりあえず弥兵衛を殴ってきてもいいですか」










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