わたしが壊死する(永倉+斎藤)

「雪が積もった日の平助と左之のはしゃぎっぷり、あれはねぇわ」
「平助の手を雪の中に小一時間突っ込んでやりたいです。永倉さんは全身雪の中に埋めて差し上げたいです」
「はじめェェエ!!」
「何でしょうか」



誰もいない海(銀之助+斎藤)

「海を独り占めしたいです!」
「無理だ」
「泳ぎたいです!」
「勝手にしろ」
「斎藤先生と一緒に行きたいです!」
「何故だ」
「二人きりで行きたいです!」
「何故だ!」



病むを得ず(沖田)

拝啓、山南さん
私は大病してしまったようなので、一応お知らせしておこうかなと思います。未だ実感はありませんが、山南さんのことだから口うるさく私に療養しなさいと言うのでしょう。

敬具、私が斬った傷は癒えましたでしょうか。



遺書「おやすみ」(沖田)

ちょっと眠るだけなんです、死ぬことは。



お死まい

悟ってしまった時に死んでしまうべし、御仕舞いは生きるべし。



もしもの未来の話(斎藤+相生)

「うちが毎朝斎藤せんせぇ起こして、すぐ朝ご飯食べれるようにしとく」
「いや、朝飯の準備は一緒にする。やや子がいる相生に負担はかけたくない」
「いややわぁ、いくら先の話でも照れてまうし」
「ああ、照れるな…」



ただの他人になる日(原田+斎藤)

「うおわああああ!一ちゃんイカ焼き食おうぜ!うまそう!マジ祭りって最高だな!うおっ、あっちに飴売りも出てるぜ!」
「誰ですか貴方、着物の袖を離してくれませんか」



真面目な嘘の上手なあしらい方(斎藤+勝姉)

「また本間先生の所に行かなかったのね」
「本間先生の家に行きましたらば、まきびしが大量に撒いてあったんです。来るなと言わんばかりに」
「一さん、今は何年だとお思いなのかしら」
「万延元年です」
「戦国時代じゃあるまいし、誰もまきびしなんて撒かないわ」
「見間違えました」
「見間違えましたで済んだら両目はいらないわ、貴方まきびしと何を間違えたのかしらね」
「石ころでした」
「そんな簡単な間違えをするぐらいなら目なんて必要ないじゃない。えぐり出してあげます」
「ねっ、姉さん…!目は必要です、えぐり出されたら困ります…!」
「心の目を開けばなんとかってやつよ」



思い出しちゃいけないことなんてここには一個もない(平助)

思い出したいことなんて一個もないよ、例え思い出さなければいけなかったとしても自由には及びますまい。



苦しいということは、

こうやって生き残って、殺されもせずに畳の上で死ぬということである。










×