人を斬った後に、永倉さんは必ず欲にまみれた獣のような、何かを欲する表情をしながら、いやらしく舌なめずりをする。 気付いていないわけではなかった。自身も欲していたのかもしれない。 昨日は両足首を吊るように持ち上げられてされたのに、今日は違う。身体を横にされて、ご丁寧に布団の上でされている。 太腿で何度も擦られるせいか、太腿が若干むず痒い。 「意味なんかないのに…」 「もう、出る、」 「……うん」 永倉さんの動きが鈍くなって、合わさった太腿の間からとろとろ白いものが流れてきた。布団が汚れてしまうと思って、こぼれている白いものをすくうと、今度は手が汚れた。文句の一つぐらい言ってやろうと思い、永倉さんを睨むと懐紙で手を拭いてくれた。 「お優しいですね」 「うるせぇ」 「満足できましたか?」 そう聞くと、永倉さんはいつも言葉を詰まらせる。 罪悪感でいっぱいの顔をして、決して目を合わせようとしない。それが心地よくて、もっと困ってしまえばいいと思って、いつもは放っておくのに、その辛そうな顔がどうしようもなく切なく、どうしていいものか分からなかったから、 「永倉さん、汚れない方法知ってますか?」 「汚れない方法?」 「そうです、汚れずに永倉さんの欲も叶えられる最適な方法」 永倉さんの身体を、両足で挟み込んだ。こういうことは、淫乱な売女しかしないだろうと思った、まさか自分自身が永倉さん相手にするなんて、予想すらしていなかったのに。 「女じゃないので、やや子は出来ませんよ?」 「馬鹿、それでも流れてきちゃうだろ」 「大丈夫。ずっと挿れたままだったら…」 「ふやけてふにゃふにゃだろーが」 「すぐ勃つくせに」 「…変なこと言うんじゃねーよ、アホ」 それから、ずっと永倉さんの色んな表情だけを見ていた。永倉さんがかいた汗を、舐めてあげたいと思っていた。頬を撫でてあげたいし、髪も触りたい。でもそれは、全部永倉さんがしてくれたこと。 「痛かったとか、文句言うなよ」 「気持ち良かったです、まだ抜かないでください」 「お前な……」 「勝手におっきくしないでください、この色情魔」 「……はじめのせいだろコレは、」 ごめんなさいと言えば、謝んなよ、と言われたものだから、あまりにその矛盾が笑いを簡単に通り越してしまった。 途轍もない感情、なんて、あったとしたならばこの感情だと思う。 「好きだよ」 互いに口を揃えていた。 end ← ×
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