痛かったのだろうか、よく分からん。
音は聞こえた。この鈍いベキンゴキンガキンと連なる面白いリズミカルな、楽しそうな最高な。
「俺が何したってんだ、あークソ暑ィ」
首の骨も折っとけってんだ、まだ喋れるし。こんなことになって喋りたくもねーんだよ、空気読めよ。

畜生。唾をはく。
はき損ねた唾はダラリと首を伝う。拭いたくなって右を見ると、拭う機能も無くなった右手は、仰向けの筈なのに下へ下へと向いている。多分きっと足とかも見えないけど、変な方向むいててカラスがそろそろ止まりに来るんだろう。

「あ、違う。あれはカラスじゃなくて鷹と鷲だ」

やべえとか思った、目ん玉食われる。悔い改めてえ、悔い改める時間長くってもなあ、マリアに呼び掛けてもだな、ううん。


「マリアはアイアンメイデンだ、鉄の針の中に居られる。誰も助けてくれはしない、処女めが」

end


車刑
【memo】車輪を横たわる受刑者に打ち下ろし四肢の骨を砕く。打ち砕く骨の順番は判決によって決められる。それから車輪に身体を固定され車軸を垂直に立てられた後、高い車輪の上でずっと太陽に顔を向けていなければならない。











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