(鉛は瞬時に溶けるからねえ、そんなに憎かったと言うのかい)

手に絡まった縄が中々取れないもので、もう死んじゃおうと諦めた。だが、死ぬまでの過程が怖い。
そう思っていたのにまさかまさか、こんなものに浸かり殺してくれるとは!

身体に染み付いた色が高級感を漂わせる。
舌で舐めてみると大好きな味と風味が脳内を駆け巡った。捕まる以前もこれを味わっていたことは、一生言うまい。あの世で言うよ。
(赤ってことは、肉料理かい?誰か俺が死んだ後を食べるの?食べてくれるの、不味いぞ)


もう舌で舐めとれない頃になると、何百℃以上になろうとしているワインに溶かされながらも自身の突き出た肋骨を見た。
「痛快!痛快!」

ふふっと顔は笑えた。


end

釜茹で刑
【memo】水、ワイン、油、鉛などを釜に入れて熱し、煮えたぎったところで釜のなかに受刑者を入れる。











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