初夏だった。 そのくせに、我にのし掛かる土は重たくて冷たい。身震いをすると雷蔵が顔を覗かせた。 「ああ可愛いなあ!」 複雑そうな顔をして、最初から最期まで笑顔を見ることはなかったが、いつか笑って過ごすのではなかろうかと思う。 笑えないように傷つければ俺を君に残しておけるから、傷つけただけなんだけれど。 ばさり、胸に落ちてきた花からは君の匂いがした。 刺さったようにも感じたが、腹に刺さった太い大きな杭より全然優しいよね、雷蔵みたい。 「ごめんなさい、ごめんなさい…三郎」 君の声と共に杭が鈍い音をたてながら身体を貫通して行った。 (いいんだよ、雷蔵。可愛い俺の雷蔵。愛しているよ君が愛していなくても) 言うと口内に冷たい土が入り込み、呼吸が出来なくなってしまったのだった。 end 生き埋め 【memo】手足を縛られ、大きな穴に生きたまま埋められる。その上に土をかぶせ、土の上にはイバラを積み重ねる。強姦犯に科せられる刑でもあり、強姦被害者の女性に杭を打つことが許されていた。 ← ×
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