苦悩は何だか目眩を引き起こしてしまったようだ。とどまった事はいいものの、ぎちぎちぎちぎち、ギチ。 (そうしている間隔でさえ、涎は蜜のようにとろんとろん流れて行く) この状況では、悦に浸る自分自身がとてつもなく似合うというのに先立って先がないとは如何様だ嗚呼怖い怖くて堪らない!見えないものほど感じないものほど余計に気を削って破滅してしまうのではないか、それぐらい。 天井の継ぎ目はよく見えた。今まで見たことはなかった必要なくて歯痒いぐらいで自身の指さえ見ないのに、いま、後ろに縛られてる自身の指、脚、愛しくて狂ってしまいそうである。 (よく考えている。) そんなトコロとは、もう、御別れである。 (刺されば涎も赤に変わるだろう、刻んでしまっている豊楽の死より、こちらがマシなのかもしれないと) にやけてみた。 end 猿轡(苦悩の梨) 【memo】これを口内に押し込み、ネジをひねるとネジ状のきりが伸び、喉奥を引き裂く。 ← ×
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