僕の声じゃない、こんなの、狼の発情した声だもん。響いて戻る震源地は、やはり自分の喉だと言うのに信じがたく延髄に映る。
嫌だって言ってるのにどうしてそんな無理矢理にするの、姦通と一緒なのに、どうして口許弛めるの、ヤメテ、そう言ってるのに聴こえないの。

(好きな人の名前呼べなくなっちゃう)

ぼたり、膝に何かが落ちてもそれを見る勇気は僕になかった。狭いけれど、灰色の壁を見ている方がよかった目の前にいる青い眼をした生き物と鋼鉄の何か、さえ目にしなければよかった。幸せだと思った切ないと思った殺して欲しいなんて思った。
傷口なんて焼いても治らないのに、みんな眼の色をカランと変えて紫色の炬なんかで喜んで、

敷き詰められた石の床は足を拒み冷えさせその度に椅子の軋んだ音が溶け込んで潰される。
飲み込まれてしまえ、

「あ、あ、あ 」

涙が、出な、い。


end

舌抜き+口内焼き
【memo】舌抜きといっても一部分を切断するだけ。この処刑の手数料は5ターレル。他にロープ代鎖代目隠し用布代もある。











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