「あつう、あついよ」

モゴモゴと雷蔵が下で動いたが、僅か布団の横から空気が入ってきただけで、重なった体からの熱は一向に冷める雰囲気はなかった。
汗が滲んでいる、胸に首に額に足に髪の毛が肌に絡み付いているのも、色っぽい。くちに入れてしまいたい指先から、全て。

「可愛、」
「あ、…も!」

首筋に吸い付くと汗のしょっぱさが舌を刺激して、それ以上に雷蔵の身体中を舐めまわしたいと思った。それこそ、丁寧に丁寧にこうやって。
(首筋弱かったんだよね)
自分の体の下で雷蔵の体が蠢いていることを感じ、抱き締めが更に強くなることを欲として認識してしまう。その反動に喘ぎ声を出し下肢を擦り付けるように。すると、籠っていた布団の中の匂いが鼻を突いてしまった。

「さぶろ、なんで…!」
「なんでって、擦れば出るだろ、そんなん」

今ので数回目だから、もう透明かも、そう言うと雷蔵は顔を真っ赤にさせて、俺の肩を押し上げ始める。敵うハズもないのに、どうしてそんなに性欲を煽ることばっかしてくるのかなあ
(天然め、)

「雷蔵の中じゃなくって雷蔵の太ももで抜ける俺、凄いよね」
「凄くないよっ」
「もう一回、抜きたい」
「さぶろう!」

ガッシリ逃がさないように腰から背中を抱くと、自然に雷蔵の手は巻き付くように首へと回ってきていた。あれ、こんな、こんなことされてしまうと、時間がかかるだろう数回目の射精も、案外早くイケそうではないか。ああもう、それこそ完璧透明な液体だろう。

「拒むフリして、雷蔵は、本当に俺が好きだね」
「うん、好きだもん」
「……。」


元から効かなかった自重も、いよいよ全く効かなくなってきたようで、上下に体を揺らし太ももに擦りつけていた自身を、雷蔵の股の間に入れたりして絶頂が来るのを急かすように、膝の痛みなど、どうでもよい。浸すばかり、溺れられればそれで。


「ふ、…」

腰に足が絡んできて密着してそのまま擦りつけてきて太ももどころか、ああ、気持ち良い、ちゃんと、応えてくれたんだ、ね。
ちゃんと二人とも快楽に満ちて息を吐き合って生唾を飲んで呼吸。それから喘げばなんて素敵な増血剤。

暗い布団の中から、ポタポタ、何かの音がした。
(んふ、だなんて笑い合っちゃったりして)



「布団ぬるぬるする」
「いいよ、このまま寝てしまおうよ」
「うん、おやすみ三郎」
「おやすみ雷蔵」

温かいままの、ぬるぬるした液体は精子の残骸なのに、ねえ、幸せ、温かい。

「精液臭くなったね、雷蔵の髪の毛」
「ん、いい匂いだよ」
「そっ、そう?」

おやすみを五回繰り返しまして、照れた俺の胸の中で寝息を先にたてたのは、雷蔵でした。
恥ずかしい恥ずかしい!そんなに、大胆に、いい匂いだとか言わないでくれ、頭からかけたくなったよ、びっしゃあ、て。
(ふふ、今度は、)

(今度はさ、ちゃんと雷蔵の中に入れて精液を注ぎ込むのもいいけれど、また精液の匂いを漂わせながら布団の中で、お互いの性器を合わせて喘げたらもっともっと、体感温度49℃ってぐらい大好きになれるよね、)
べろん、唇を舐めた。

end

接触性愛(性器を接触させることで性的興奮を得る。)











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