ハチの歪んだ顔がハチの笑顔よりずっと、ずっと大好きになってしまった。
身動きがとれて自由に僕を弄(まさぐ)ってくれるハチも大好きだけど、身動きすらとれずに不自由で可哀想なハチの方が随分大好き。


「一糸纏わぬ姿なのに、ここだけ触れられているのは結構ツラい?」

コクンと頷くハチの性器を握り込みながらゆっくり上下させ、先端を指の腹で押さえつけてみると、身体の上に股がっていた僕の髪までもがふわんと揺れた。
額の汗が少し光っていたのでそれを一舐めして耳を甘噛みしつつ首筋に舌を這わし、腹を撫でる。(この下には真っ赤な血液に浸された麗しい臓器があるんだよ、愛してる)

「ハチ、大好き、愛してる、だからもう、してあげる」
「 、あ」

広い大きな厚い肩を掴んだまま、身体をゆっくり沈めた。そのままそのまま、頭が真っ白になりながら薄目を開く輪郭視界の中には、気持ち良さそうなハチがいる。いつもの布団の中での顔なのに、見慣れたハズだったのに。(そうだ、そうです、ハチの手は背中側へ間接からガッチリ縛られているのでした。)
(僕に触れられないんだよ!だって触れられないようにしたの、僕だもの)



「ッ あ、ああ、雷蔵の中に挿(イ)れたくて挿(イ)れたくて、しょうがない」
「いま挿(イ)れて密着しているのに?」

違うんだよ、そういう意味じゃなくて、ハチは苦しそうに眉を寄せて言いながら。対して苦しいの?そう聞くと、気持ち良いんだよと笑顔見せたりして、ハアッと息を吐くと舌を出して僕を誘ったので、たったの十一秒だけお互いの舌を遊ばせてしまう。
「ね、少しだけ縄を解いてくれない、か」
「ダメ。だってハチ、縄解いちゃったら凄く腰を打ち付けそうだもん、僕に」
「そりゃあ…、 ァ」
「どうしたの?」
そう聞いたら、イってしまいそうだと言った。

揺れて唾液で潤った唇に髪がはりつき、それを舌で押し出しても更に口内へと入ってくるだけで、邪魔を削ることはできずに、それよりも、コッチに集中がいきすぎてハチが好きすぎて、自分自身のことなんて一片すらもない。

「上手くなった、すごく、らいぞう」
「 ん」

それから下唇を噛んだまま、背筋を反らせながらハチは息を漏らしていた。だからそうっと項に手を添わせてあげたり、額に口付けをしてあげたり、そんなに身体を硬直させすぎちゃうと縄が食い込んじゃうのにね、頬を撫でながら言ったのに、
「ハ、チ」
右の口角から液体をツゥと垂らしているのを見て、僕は急にオルガニズムに達してしまい、ぐんぐん延髄へ昇ってきた何かに追われたまま、下肢に力を入れながら感じてしまった。
(まっしろ、)
お互いグッタリとした中でハアハア言い合っている途中、僕はハチの白い精液を体内から流したくないと思った。出したくないと思った。ずっと抱いていて欲しくて、側に転がっている小刀で縄を切って抱いてと言った。

(関節がゴキンとなったのに、痛い表情は全くしないんだね)



「雷蔵、縛ってしまおう」
「千切れるぐらいにね。」

やっと離れた縄は
また短くなります
僕たち
縛るために、

end

ボンデージ(縛り/縛られることに性的興奮)











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