「雨だね」

外を眺めながら、雷蔵は声を弱めて鉢屋に言った。
確かに外はザアザアと降り注ぐ雨と、絹のような柔らかい雨の繰り返し。窓越しに眺めては、雨粒一つ一つの儚さを雷蔵は見据えている。

「雨、好き?」
「好き、だよ。」
「ねぇ、余所見しないで。今はこっちに…」

グ、と鉢屋は雷蔵に身体を押し当てた。
すると雷蔵の膝がカクンと折れ、足先がビクビクと趾を震わせる。奥底から溢れ出る声を塞ぐように、その濡れた唇を塞いだ。

「んッ、…ふ」

眉を寄せる雷蔵の髪をかきあげながら、執拗なほど口内に舌を這わせる。口端から垂れてきた唾液が枕を滲ませたため、鉢屋はその枕をはじき雷蔵の頬を伝う唾液を、吸うように舐めとった。
そしてそのまま、首筋から鎖骨、柔らかくも淡い先端を口に含むと、鉢屋は舌先でその突起を優しく転がした。

「やっ…!さぶろ…っ…ソコだめ…ぇっ」

顔を火照らせ、鉢屋の肩をグイグイと押し返すのだが、雷蔵の力など到底敵いはしないのだ。
そればかりか、その両手をいいように取られ、頭上に押しつけられてしまっては身動き一つすら取れなくなっている。

「んっ、ぁ…」

淡い色を花のように濃く色付けると、今度は露になった腋の窪みに顔を埋めた。
同時に、雷蔵の腰が浮く。すかさず手を入れ抱き寄せると、抱き締めたまま仰向けになり、雷蔵を腹上へと乗せた。

「色っぽいね」
「…さぶろう、ひどい……あんなこと、されちゃうと…駄目になっちゃうって、前…言ったのに……」
「ごめんね、雷蔵見てるといじめたくなっちゃうんだ。…おっきくもなるよ」

ツツ、と自身の男根をなぞり上げ、雷蔵との結合部に触れると、そのまま後ろの口をも撫で上げた。

「ひぁっ」
「…雷蔵ってば、本当に弱いとこばっかり」

言うと、顔を真っ赤にしながら雷蔵は鉢屋を睨んだ。

「怒らないで…もっとよく見せてよ」

絡ませた手をグッと持ち上げると、雷蔵の上体が僅かに起き上がる。
「やっぱ揺れるのとかたまんね…」
舌なめずりをすると、鉢屋は下から腰を何度も何度も動かした。そのつど雷蔵の身体はゆさゆさと揺れ続け、髪の毛も犯されたように乱れゆく。
(どうしても欲しかった、全てが、)
(離されたくはなかった。)


「らいぞ、…雨、好き?」
「…んッ、好き…だよ」
「雨音、ちゃんと聞こえる?それともコッチ、が、聞こえる?」
「さぶろ、さぶろう、…雨音なんか…聞こえなくなっ、ちゃ…た…」


息遣いの呼応に熱いものを感じた。
実感のある身体と実感のない気持ちの狭間に堕落している。鉢屋は愛しく雷蔵の背中を撫でた。


「一緒に聞こう、雷蔵の好きな雨音」
「うん、有難う」


鉢屋の胸に耳をあてると、ゆっくり大きな音が芯から聞こえてくる。
重なり合った鼓動が、雨音と全く違う意味を喋る事もなく、二人は瞳を合わせながらくすりと笑う。

窓からは、白露の時雨が参ろうとしていた。



end


>>雫様
リクエスト有難う御座いました!
鉢雷♀、甘エロ、雨の日というキーワードに私がテンション上がりました…!
現パロ、室町、お好きな方を捉えてお読み下さい´`*

鉢雷って互いが愛し合ってるなぁといつもほっこりします。甘エロになっていたかどうかが不安ですが…;私なりに嬉々として書かせて頂きました…!
どうもでした。


130303











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