「ハチが悪いんだよう、僕に構ってくれなかったから…」

夕食後、俺の部屋に雷蔵が泊まりに来る筈であった。けれどそれは夕食の食器を片した時に突然壊され、可愛い後輩のペット(危険因子)が逃亡したために駆り出されるという緊急事態に晒されたのだ。
いや、可愛い後輩のためだから仕方ない。可愛い雷蔵に断りを入れると可愛い雷蔵は可愛く頷き「うん、いいよ。部屋で待ってる」と言ってくれた。

「…が、なんつー待ち方だ、らいぞう…」

部屋の至るところに酒瓶が転がっている。
(雷蔵、明日が休みでよかったね、絶対頭が痛くなるよ。)
虚ろな目をしている彼は、いつもより色気が増して俺の理性は減退気味だ。ああ、どうしてくれるんだろう、そのような顔を見せないでくれ。

「ハチ、聞いてるの?」
「え、あ、聞いてる聞いてる…!」
「嘘つき!ハチの嘘つきー!聞いてなかったでしょ」
「聞いてたよ、俺が悪いって…構ってくれなかったからって…」

何だか自分で言うのは少し照れてしまう。けれど、雷蔵はにこりと笑って俺を見上げた。

「正解」
「う…わッ…!?」

そのまま一緒に後ろへと倒れてしまったのだが、月明かりが雷蔵の顔を照らして妙に自分自身がヤバくなっている。
「手間、省けたでしょ?布団敷いててあげたよ」
そんな時に、そんな舌舐めずりは止めて欲しかった。そうしないと、俺の方が止まらなくなるからだ。

「まだ、風呂入ってないから、汚いよ…」
「気にしない、汗臭いハチが好きだもん」
「ああどうしよう、もう勃ってる」
「本当だ、ハチの大きいからすぐ分かるもんね」
「ええと、駄目だ、止まらない…駄目だよ雷蔵…」
「うん、早くしよう?」

躊躇わず、形勢逆転とやらを目に入れる。やっぱり、授業を受けている君の顔とはまた違う顔の君がいるんだもの、癖になるね。
雷蔵から誘われるのは悪くないなあ、と思ったまま夕食時の風景を思い返す。雷蔵、笑顔で了承したのに今の現状と大分かけ離れているんだけど。

「ごめん、寂しい思いばかりさせてしまって。我が儘、言ってくれてもいいのに」
「だって、仕方ないって言われるの嫌なんだもん。叶えてくれる我が儘だったら、ずっと言うよ…」
「例えば?」
「早くハチと繋がりたい、とか…、ダメ?」

可愛すぎて溶けてしまいそうなのは全くもってコッチである。実感すると泣いてしまいそうにある俺の目には、誰にも見せたくない表情の雷蔵がいた。
(他人に渡したくはないし、握らせたくもない)
かと言って、同室でもない雷蔵を縛る権利なんてものはない。どうして君と俺は同室じゃないんだろう、全部上手くはいかないって本当だ。

「ハチと一緒の部屋だったらな…」
「それ、俺も思ってた、しかもたった今」
「ふふ、ずっと引っ付いているかもね」
「ん、離したくない…」

やっと口付けをした。しながらも、着物を脱がし腰紐を投げ捨てる。結構、我慢出来ないってぐらいに。

「でも、同室だったらこんな関係じゃなかったかもよ?」
「なに雷蔵、そんな寂しいこと口にして…」
「今が幸せってこと。…大好きだよ、ハチ」
「…うん」
(この上なく幸せなのは俺だってそうだった。)


もう既に情事中であるのだが、それに集中できないほど雷蔵が好き。
何でそこで可愛く喘ぐんだろうとか、その顔のイク視線とか、ああもう駄目だなって。

「んん、おっき、い」

耳元でそんなことを囁かれると、耐えられるわけもない。ただ「絶頂」の二文字がぐるんぐるんと頭を駆け巡る。そしてドクンと脈打った何かが、どんどん波のように快楽を送った。


「っあ、……は」

当然のごとく白い液を雷蔵の中に出してしまったのだが、そのまま「抜かないで」と言われると、また大きくなった自身は素直すぎる。我が儘を言えと言ったのは俺であるし、それに応えていると言ったらそれでいい、好きだから、繋がっていたいし離したくないのは俺の方。

「…ハチ、そのまま続けて?」
「うん」
「大好きだよ」
「俺だって」

返事のように首筋を吸いながら腰を動かせば、心地好くも水音が生々しく響き、もう一度君を手に入れているのだと実感を掲げるのだ。

(ああ、ホント愛してる、らいぞうが悪いんだ、らいぞうが――)


end


リクエスト有難う御座いました!
雷蔵襲い受けってことで竹谷を押し倒してもらいました´`*竹谷は雷蔵が好きすぎるし雷蔵も普段は出さないけれど同じぐらい竹谷を好きという。
うう、甘エロになっていたでしょうか…;恐縮です;


100725











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