「ちょっと手首赤くなっちゃったねえ」 別にそれはどうでも良いことだと自分自身の中では飲み込んでいる事である。 面倒でもある。痕が残る事をどうごまかすのか、こうやった後の雷蔵の正直な嘘のつき方を楽しみにしている部分もある。 「どうしてこんなことするの」 雷蔵はいつもこんなことばかりを口にするのだが、こんなことばかりを言う雷蔵が堪らなく可愛いと思う、そう思う自分が居るのだと思っている。 「どうして嫌なの?」 「…痛い、もん」 「痛いから嫌なの?」 「酷いから…」 「嘘、よだれ流しっぱなしで嬉しい癖に。」 ボタボタ涙を流して雷蔵は下唇を噛んだ。一度だけ死にたいと言った事があったけれど、舌は噛まなかった。死ぬ気なら噛むけどヤッパリ死にたくないんじゃん、気持ちいいんじゃん?言うと嫌いと言われた。 「へえすけ嫌い!」 ――あーあ、こういうふうにまた言われちゃうと、太股を股に向かって優しく撫でるしかない。雷蔵は声を上げてゴロリと動いた。 よだれが頬をつたう。 つたいすぎて右の髪は濡れていた。そこにソッと顔を近づけて雷蔵の栗色の髪を口に含むと、今度は自分の唾液を浸らせる。 じゅくじゅくと音が鳴るもので、更に雷蔵は喚き出してしまった。 「やめてよ…!」 「うるさいなぁ、唾液で濡れるの好きだろう?マラだって俺の唾液で濡れているよ」 目を瞑って何を我慢するのだろうと思った。その顔が愛しくて頬を舐めあげる。 ちょっとしょっぱい、それだけなのに泣きながら俺の名前を呼ぶのは辞めて欲しい。 「ほうら、唾液」 接吻をして雷蔵の喉音を聞くたびに高揚感は確かに存在しているのだ。 「雷蔵、痛くしないって約束するから」 「ほんと…?」 息を切らしながら潤む瞳が真下にあると、どうにも早く中に入りたいと考えてしまう。 裏腹に、ぎゅうと抱きついてくる雷蔵は悪くもない。枯渇も何も悪くはないのだけれど――。 積極的に足を絡みつかせて舌をチロリと出してくる雷蔵の腰を掴む。掴んだまま自分の腰を動かして口から生暖かいものを垂らした。ドロドロとそれは雷蔵の唇から溢れたが、それを妖艶に舐めて喰らう。 「好き?」 「んん、好き」 交わす会話は実に簡単なものである。これ以上の意思疏通は要らないと簡単に考えてしまう。 「やめて欲しいって今思う?」 「思わ、ない…」 しんどくなって肘を布団についた。布団さえ濡れて胸の下側からゾクゾクと震える。顔を横に向けて雷蔵の耳を舐めると高い声が天井にあたった。 「ねえ、キテる?」 「な、に…が?」 答えは返さなかったが、自分のモノで嫌と言う程分かっていた。 今度は足を曲げて深く挿入することを楽しんでいたのだが、繰り返す内に雷蔵のやんわりとした腰が急に硬くなり始め、手に力が入り爪は自身の腕を突き通す。 「雷蔵、力抜いててよ、じゃないと俺のマラが全然すんなり中に入んない」 「だって!なんか…」 途端、雷蔵の腰が大きく揺れた。揺れるどころか指先さえもビクついてくる。 (あー、なるほど) 「今効いてくるんだ」 垂れた髪の毛を背中にやると、汗でベタリとはりついた。俺の言葉に大きな目をくるくるさせている雷蔵は、本当に何も知らずに犯されるのが似合っている。 「薬、盛ったんだ」 笑って言ってやると目をグルグルさせた。今グルグルさせたら駄目だよ、イった時にどうするの、ついもう一回笑ってしまった。 「え、僕どうなっちゃうの…?」 「知らないよ、そんなこと」 「や、やだ…!」 「仕方ないって、でもいいんじゃない?気持ちいいと思うよ」 必死になって動かないでと懇願する雷蔵は男を知らないと思う、男のくせに。手首を赤く染められるまで縛られることも、お前のその犯してと言わんばかりの顔のせいだよ。 「抱いてからシテあげようか、重力にも従順になるといい」 体を持ち上げるとビクビクと腰が前後に動く。 「そんなに先を求めているの?」 「ち、違う…!」 俺は肩から下へと垂れるであろうものに期待を募らせてしまった。 これに気持ちを募らせるつもりで薬なんかを使ったわけではないけれど、(だから、雷蔵だから。) 真っ先に「いい?」そう聞いてみたくなった。 「僕、へえすけで十分いっぱいいっぱいなのに、どうしてそれ以上するの…?こんなにピクピクしているのに、もう無理だよお、死んじゃうよ…う」 その口にした言葉を良く覚えておいた方がいいよと言ったのは、さすがに記憶が遠いに違いない。 「雷蔵いいね、凄い積極的。薬を自分からねだるようになるなんて」 二回目の情事の欲の消費なんざ、所詮こんなものである。 「へえすけ、好き」 (君の情事の欲の処理なんざ、俺が聞きたいだけである。) end リクエスト有難う御座いました! マニアックということで薬を…(笑)もっとマニアックでも良かったですかね;私こういうの大好き中の大好きなんで楽しすぎました!どうもです! 100314 ← ×
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