「お嬢さん、靴を磨いて行きませんか?」

綺麗な淡いドレスと薄暗い路地は似合わない。見合う馬車は何処へやら――。

「道に、迷ったの」

靴磨きの商人に、女は言った。しかし商人は道すら教えてくれもせず、女の腕をグイと引っ張る。
靴を磨くための布で口元を覆えば、女はガクンと気絶した。


「あそこで靴を磨いて下さいと言ったら、ちゃんと道案内してやったのに。犯した後に、だけど」

目が覚めるとまずそれを言われた。両腕をベッドに縛られ、思うように身動きが取れない。
初めて自由を奪われた事に、雷蔵は怖くて震えが止まらなかった。

「あなた誰…どうしてこんなこと…!」
「路地に迷い込んだのがいけないんだよ。貴族はさぁ、大人しくしておかなくちゃ。こうやって俺に誘拐されて、バカみたい。この世間知らず」

ちゅ、と胸元に口付けると、身体を揺らして抵抗をする。
「やめてっ…」
鉢屋を見つめる目は、汚いと言わんばかりだ。

「いいね、その顔」

ニヤリと笑ってドレスをめくる。露になった乳房を、貪るように鉢屋は舐め回した。力が入る足を押さえ、大腿部を擦るように撫でたりもした。

「感じてる?処女のくせに?」
「……!」
「泣いても無駄、お前、身体を使って金儲けしなきゃなんねぇ奴の気持ち、知らねぇだろ」
「そんなの、知らない…!」
「だから教えてあげる。幸せなことしか知らない無能なお前に」

感情とは、醜いものだ。
馬車を下りて道に迷った、ただそれだけだった。その日の夕食が一口でも食べられる金が手に入ればいい、そう思って道端で靴磨きをしただけだった。互いが互い、好きでも何でもない。


「お前、いつも馬車から汚い俺たちを見て、どういう顔してたと思う?」
「知らない…!何もしてない……!」

ガツンと拳が雷蔵の頬を打つ。歯で切れた唇からジワリと血が滲んだ。

「こういう顔、してたよ?」

グッと髪を掴まれ、ベッドに顔を押し付けられた。涙がシーツに滲んだが、口から流れる血も滲んでいた。それは確かだった。

「さあ丁度精神的に病んだところだ、」

バッと足を広げられ、そのままズルズル引っ張られると、熱い鉢屋のモノを直に感じる。
ガクガクと震え、抵抗の出来ない雷蔵を鉢屋は舐めるように見つめた。

「犯してあげる」
「い、ァ…痛ァあッ…」

グリグリと、火がつくように脳天までを引き裂かれていく。
唇を噛むと、傷がチクリと痛んだ。痛いばかりだと、雷蔵は余裕を無くしている。

「俺の、じゃなくて、ナイフを突っ込んでやってもいいけど?」

くるくるとナイフを回しながら、雷蔵の陰毛を掬うようにペタペタと下腹に当てる。
斜めに引くと、プツリと皮膚が切れてしまった。

「ナイフ突っ込まれたい?」
「ヤ、ダぁ!」
「俺のがいいよね?三郎のがイイって、言って?」
「…うぅ…」

パシンと鉢屋の大きな手は雷蔵の顔を叩いた。グキリと首の骨が鳴ったが、無理矢理にでもこちらを向かせてやれば問題はなかった。

「意識を手放すな、じゃないとこんなことになるんだよ?」

サクリと足にナイフが刺さる。グッと下に引けば、もう足は二度と動かなくなってしまった。狭いベッドからプラリ、垂れた足は下に行く。

「いやあああっやめてぇえ!もう何も…っ、うう、しないで…ぇ」
「言うことは?」
「三郎の、が…イイ」
「うん、よく出来ました。」

抜いたナイフをカランと捨てる。血路が出来たが、それは軈てどす黒く床と同じ色に成るのだ。


「中に出してあげるからねェ」


それは子守唄のように、永遠に耳をまとわりついて離れない。
きっと、一生。

end


リクエスト有難う御座いました!
中世ヨーロッパで貴族な雷蔵と庶民以下の鉢屋話にしました。エログロとおっしゃってましたので…(なんだか雷蔵が可哀想になっちゃいましたが、大丈夫だったでしょうか;)
私の好きな鉢雷像でもあるので、正直楽しかったです!有難う御座いました´`*


101003











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