「ねえ、どうしてそんなに耐えられない顔してるの?」

さっきからギュッと目を瞑り口を一文字にして、ちゃんと息してんのかなーなんて。
(あれ、これは言ってもいいのだろうか)

「雷蔵、布団の中でする顔してる。」
「な、…してない!」

頬を膨らませたと思えば、すぐにまた色のある顔をして。うん、だからどうしてそんなに可愛い顔を俺に見せ付けるんだろうか、嬉しいけれど、まさか。

「誘ってる?」
「違うよ!」

なんとなくガックリした自分がいた。
(いやいや、今朝したばかりなのだから、いくら何でもそれはない。いくら何でも盛りすぎてる。)


「くすぐったいんだもん、ハチの頭」
「あぁ」
そういうことか!変に納得した俺は凄く気持ち良く思い、わざと頭を左に傾ける。あからさまに雷蔵がビクつき、くすぐったさに我慢をしているのが体温で分かった。
柔らかい栗色の髪が顔に落ちてきて、こちらまでも我慢がならなくなる。余計な鼓動はいらないと思った。

「雷蔵、頭撫でて」

ゆっくりゆっくりと、額に触れながら。犬のように撫でられつつ天井を仰いでいるつもりが、雷蔵ばかりを見てしまい、恥ずかしさのあまり目すら逸らせないでいた。
出来心で左の脚を撫でても、雷蔵は何も言わない。

「…足、疲れてないか?」
「ううん、」

無言のままの空虚が何とも言えなくて、顎を少しだけ上に向けたら雷蔵の唇が降りてきた。
音も何も響かないだけの接吻は、足りないと叫ぶ合図なのだと思う。


「膝枕ありがとう、」


起き上がって雷蔵の肩を抱くと、自然に二度目をお互いに共有した。やっぱり、左脚を擦ればそういう顔をして。

「僕、耐えられない顔してる?」
(うん、してるよ)という答えは言えず、雷蔵の身体を抱いて返事をしたく思ったのだった。

end



トモリ様、リクエスト有難う御座いました!

甘くなっていたでしょうか…!私的に膝枕はロマンがたくさんつまっているなーと思いながら書かせて戴きました。
雷蔵にずっと触っていたい竹谷なのでした(笑)




090430











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