辺りはまるで瑠璃色だった。贖ってよと三郎の胸を叩いて、悪辣なさまを見せたりもしてしまった。 「三郎はずるい、嫌い」 腕の中で泣いて泣いて三郎の匂いを嗅いでも何も満たされないし変わらない。だから本当に嫌い。背中をさすって僕を泣かせまいとしている三郎なんて、大嫌い。 言ったのに、僕だけだよって言ったのに、僕以外の人と楽しそうに喋って、笑ってないで気付いてよ僕は凄く辛かったのに。 「もう、三郎なんか何処か行っちゃえばいい、僕の前に現れないでよ」 「…うん」 「死んじゃえば!花なんか絶対供えてやらないんだから!」 「うん、雷蔵の知らないところで死ぬよ」 その言葉が苦しかった。 全然分かってない癖に、分かったようなフリして。本当に消えればいいのに。 「早く死んできて三郎」 「うん」 「早く、早く離れてよ」 じんわり滲んだ汗が銀雪のような花信風に吹かれた。何が無しのまま懐に、前髪をなぶって讒言しないで濡衣みたい。 「抜き差しならないよ、雷蔵」 (ぬきさし、ならない) 「みだらにしてしまった愛し過ぎるお前の姿が頭から離れなくて、狡猾だ」 熱も一入(ひとしお)、 過呼吸になりながら涙で濡らしてしまった襟元を掴み、火ともし頃であるのを初めから終わりまで。 (そんなことを黙っている三郎が余計に憎らしかった。) 「…痛いとか思わないの?」 頷いた三郎の首からは、僕の歯形に合わせて血がダラダラと出てくる。不思議にもう憎らしくもなくて、瑠璃色に混ざろうとしない淦(あか)を愛しく想い、舌を這わせた。 「…きらい」 「うん」 (僕の首には真っ赤な痣があるの。) end みさと様リクエスト有難う御座いました! 好きすぎてすれ違った上での依存ということでお願いしたく´`*依存鉢雷ばかり書いていたので凄く新鮮で楽しかったです!きっかけをどうもでした!そして血表現すみません…そういうのが苦手でしたらば本当に申し訳ないです!! 090331 ← ×
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