宿題終わった、そう突発的に言って寝転がりだしたのは竹谷であった。 整頓された久々知の机は最早、竹谷の机と化しており、その隣に転がる乾いた筆は筆らしくもなく、コロコロと存在を示すだけ。 「あ、満月」 長い髪を投げ出して寝そべっていた久々知がボソリ呟くと、窓の格子を竹谷はガッシリと掴んだ。 「綺麗だなー」 「八左ヱ門、おまえ感動できたんだな」 鉢屋の余計な一言を受け、当たり前だろと返す竹谷だったが、鉢屋の気は既に雷蔵へと移っている。 「性悪三郎め」 悔しがったつもりが、床に広がった久々知の黒髪を踏んでしまい、畜生は謝罪に変わっていた。 「ほら雷蔵、見えるか」 「うん」 そんな中、鉢屋はしっかりと雷蔵を抱き寄せて窓から空を見上げる。しかし床に転がって鉢屋を見上げる久々知には、よく分かる。鉢屋の視線の先に空がないということや、妙な気持ちの矛先や、色々。 「感動できてないのは、はっちゃんより三郎だな」 カラカラと笑い、久々知は廊下へと進み出た。 「流れ星」 「おー何処だ」 そのわざとらしい二人の流れにムッとした鉢屋と何も分からない雷蔵を部屋に残すと、場を保つかのように部屋の蝋燭がふっと勢いよく消える。 月明かりで眩しいぐらいの廊下からは、部屋の雰囲気など全く映りやしない。 だが、鉢屋と雷蔵が寄り添っていることだけはよく分かる。 その内、鉢屋の名前を呼ぶ雷蔵の声が聞こえたかと思うと、二人の背筋にゾクゾクと何かが走ったのだった。 (あー、あ) 「兵助、どっちが先に流れ星見つけるか勝負しよう」 「はは、いいねソレ」 暗闇に慣れた二人が互いの眼で見てしまったものは、春画の一部のような光景であったに違いない。 溜め息をつく間にも、これからどうしようと肌寒い夜に嘆く二人であった。 (流れ星、朝まで百万個見つけられるような気がしないでもないよ。) end リクエスト有難う御座いました! 五年は仲良しですが、鉢屋はどこでも盛るので久々知と竹谷が苦労しているんだと思います(笑) ほのぼのにしたかったのですが、少しエロチックになってすみませんでした! 090430 ← ×
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