「冷たくて、少し固まっていてドロドロしてるのも、おいしい」

屑籠からぐしゃぐしゃに丸まった懐紙を取って開き、美味しそうに舐めている君の第一声がソレだった。
俺を横目にハアと息を荒げながら長い舌で懐紙を舐めあげている姿に惹かれ、異常に間違った感覚を呼び起こしてしまったのを、君はしっかりと見逃さない。

「ハチ、勃ってる」
「え、あ!」

ドクンドクンと脈が早く打っているのを一部に感じ、もう隠し切れないと判断をすれば君を見てしまうこと、分かっているのに全く苛々するばかり。交わってしまう事は理解もできていたワケなのに、結局既に不理解になっている。

「摩羅の方、早く舐めて欲しかったんでしょう?」

ピトリと頬で擦って元からズルズル舌を這わせた。何もかも全てが気持ち良く感じていた。
それからはいつものように関係しただけで、特別とは言わないものだったけれど、妙に何だか、今日だけは全く違っている眉のひそめ方。君は可笑しくも、我慢できない様子で俺を見た。


「抱き方、気に入らなかった?」
「気に入ってるよ」
「外に出した方がよかった?」
「中に出して」
「怒ってる…?」
「好きだよ、」
「……。」
「あのね、僕ね、」

ギュッと腕を握ってきた雷蔵は目を黒々しく煌めかせながら、とても楽しそうに話すのだった。
(その青い舌で何度繰り返し舐めたのか、ちらり暗い床を見ると転がる懐紙に恥ずかしくなる、あれを開いて丁寧に舐めるのならば俺の摩羅ごとズット舐めてくれればいいのに、)

「ね、ハチ聞いてる?」



グイと首を引き寄せて妖艶に魅せてくる首筋に、軽く捕えられてしまったのだと重い覚悟をした。
ほら、腰に巻き付いてくる色が在る。

「だからね、こうしないと気がおかしくなりそうだって言ったの。」
(紋白蝶は、蜘蛛に食べられそうになると必ずこういうことをする、食べられるか逃げられるか、)
(牙を刺されては君、食べられることを楽しんでいるようだった、千切られたとしてもソレを。)

「僕が、気がおかしくなっちゃうの見たくないでしょう?」
「ん」
「このまま、このままね」


繰ることもない昼に来ることもない朝、の中で梟だけが外を飛び回っている腐肉食。食す音が結合部からぐっちゃり漏れそうなモノだった。

「抜いたらダメだよ」

舌が鎖骨をなぞる。
(べ ろり)

誘われてもう一度、拘束しては首筋に食らいついてしまった、拘束はこちら側が試行されてるというのに。

end



リクエスト有難う御座いました!
男と肉体関係を持たないと気がおかしくなりそうという名言を残した阿部定を雷蔵に被せてみました。この雷蔵は凄く淫乱ですね、恥ずかしい´`*
竹谷は雷蔵の虜になってます完璧。




090318











×