染めているのか染めていないのか、三郎の髪は夕日でオレンジに染まっていたし、青いチカチカとした着信をお知らせする似合わないピンクの携帯は、机の上で静かに佇んでいる。 「三郎、電話」 「今それどころじゃない」 「電話」 「うるせえ」 ピシャリ言うとガタガタ机の下や椅子の下に潜り込んで行った。ひょいと携帯を見ると、登録もされていないのか番号だけが表示されている。 080…ああこれ誰なんだろうか、 「サブロー、俺帰るからな」 「それ何回目だ、帰れよ鬱陶しい」 「うん、帰らない」 あーハイハイ、と、三郎の返事を上の空で右側の窓を開ける。日直の野郎、窓閉め忘れてるって、誰だ。 汚い黒板を見ると、書き換えられてもいない日直の欄にクラスの女子の名前がそのままだった。 (あー、日直こいつらか、ケバくてうるっさい女子。) あ、三郎の鬱陶しいという気持ちが今分かった気がする。妙に笑えなかった。 「もういいじゃん、ピアス一個ぐらい。また買えば?」 NIXONの腕時計を見ると、この教室に二人だけになってから、もう二時間近くたっている。 こうやって机に座り必死に大事なピアスを探す三郎を見るのが、とても空の虚しさだった。(どうして俺は黙って見ていたくなるのだろう、手伝いもしないで、だからこそ手伝って欲しいとも言わない三郎が、嫌い、なのかも) 帰り道は心底暗くて真底寒いものだったが、外灯に照らされた三郎の髪はやはりオレンジだった。 「お前泣いているの?」 聞いても何も言わないのならば一緒に帰っている意味すら無いと思うが、そんなことは無いと思う三郎はやっぱり泣いている。 「雷蔵からもらったピアスなんだ、俺しか触っちゃダメなピアスなんだ、一番大切なもの、なのに」 そして命より大切だと三郎は言った。 本当にこのまま、電車に乗って降りる三駅前で三郎が降りて、俺が家に着くまでに死んでいそうな気がする。だからポケットからピアスを出して三郎のポケットにこっそり入れた。 「ん、家に帰ってポケットとか見たら?」 「ねえよ、」 「あるって」 その後、駅のホームでコーヒーを買おうと、ポケットから小銭を出した三郎は顔を緩ませ本当に泣きそうだった。「よかった」とそれだけを言って。 「あのさ、俺はそういう三郎が嫌いじゃないよ」 「なんだよいきなり…」 三郎の耳につけられた赤いピアスを見つめながら、兵助と雷蔵が付き合っているだなんて言うのはやめることにした。 お前、今あっちから来てる特急の電車に飛び込んでしまいそうだもの、だから、だからせめて。 せめてこの電車が過ぎ去ったら、俺は、 (一体、何を?) end リクエスト有難う御座いました! CPはお任せということで初の竹鉢に挑戦してみました…。というか久々雷←鉢←竹ですね;現パロ楽しかったです!本当にどうもでした!終わりグダグダな感じですみません! 三郎のピアスを隠したのは紛れもなく竹谷です。 090414 ← ×
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