必要な手(鉢屋) 右手と雷蔵の妄想だけで。 左手は何か無理。 曲がらない首(鉢雷) 「ごめんね、三郎」 「うん」 真夜中に寝ている雷蔵の下半身で遊んでいたら、ボディブローとアッパーが入りました。 ええもうそれは素晴らしく! 「でも三郎が悪いんだからね」 「うん、でも夕べは気持ちよかったです」 そしてまた、ボディブローとアッパーが入ったわけであります。 二度と伸びない爪(雷蔵) 久しぶりに見た三郎の大きな背中は、生々しい引っ掻き傷が大半を染める。 これは、昨日の。 これは、一昨日の。 これは、いつのだろう? 「ああもう、深爪してあげよう」 なのに、怒られた。 枯れる喉 それは、地縫い。 満たす眼球(鉢屋) 「あー、あ。夢精」 ポツリ呟く、雷蔵チラ見。 懐紙を三枚投げられた。 「出過ぎだ出過ぎ、俺。じゃなくて俺の俺」 濡れた懐紙を投げ返すと、容易く投げ返された濡れた懐紙。 「股が冷たい、雷蔵」 「何で僕に言うの」 「雷蔵に対する気持ち」 「意味分かんない」 うん、意味分からない。 布団を被っても冷たさは変わらず、目を瞑ればジワリと温かくなって。 何が何だかサッパリ、分かりすぎる。 「雷蔵の夢見てた」 濡れた懐紙をもう一度投げると、もう二度と返ってはこなかった。 授業がない日で本当によかったと心から思うよ。 所詮誰もがあいされたがりの(鉢屋+雷蔵) 「雷蔵は俺の事どう思ってる?」 「ウザイと思ってる^^」 わらうようにねむる(鉢屋+雷蔵) 家族から手紙がついたと、"それ"をニコニコ大事そうに、引き出しの奥へ直していた。 「微笑ましそうだな、雷蔵」 「うん、半年ぶりだからね。そういう三郎は家族に手紙とか書かないの?」 まさか。 「書くさ、当たり前だろ」 「三郎は優しいもんね」 まさか。 まさかまさか、 親も兄弟も村の奴等も皆殺しにしてしまったなどと、 言えるわけが、ない。 嘘でも、それは。 茨道でもそれでもまだ(鉢屋+久々知) 三郎が珍しく、それはそれは雷蔵のように、深く深く悩んでいた。 そして鉢屋三郎という固有名詞の相談は、いつもろくなものではない。 だが、悩みに浸る友人を放っておけるワケないじゃないか。 「どうしたんだよ、三郎」 嗚呼、何て優しい自分! 「聞いてくれよ」 「うん?」 今日の三郎は「聞け」などと言ってこない辺り、余程壮大な悩みを持ち抱えているらしい。 よし、俺が悩みをとことん聞いてあげよう。 「友達だろ。畏まらずに言えったら、三郎」 「実はさァ…」 「雷蔵が俺の子を産めないって分かったんだ」 「………。」 雷蔵を連れて逃げ出した方がいいかも知れない。という「逃避行」の三文字が、少なからず頭の中を過って行ったのだった。 そして前言撤回申請中。 花と屑(鉢屋→雷蔵) 「鉢屋雷蔵と不破三郎。どっちがいい?」 「キモいんだけど」 息をするただの個体ふたつ(久々知) 「鉢屋三郎は気味が悪い」 その話題が出たのは、一年も終わりの時期だったが、五年に進級した今でも耐えてはいない。 素顔を見せないのは化け物だからじゃないのか、 何を考えているか分からない、 付き合いにくい、とか。 「不破雷蔵が可哀想だ」 「もちろん、お前も」 とか、結構ウンザリで。 「黙ってろよ。好きで一緒に居るんだ、雷蔵も俺も」 鉢屋三郎は、気味が悪い、俺の本当の友達。 ← ×
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