しっかりと握られた大きな手。前を行く自分よりも広い背中。
何故か見覚えのある、この光景。手に感じる確かな温もりも、よく知ったものに似ている気がした。

(一体、だれの……?)

ふいに、彼の後ろ姿が此処にいるはずのない幼馴染と重なる。記憶にある幼馴染は小学生で、大人である彼とは似ても似つかないはずなのに。
そんなわけがない――と、頭では理解しているつもりだった。けれど今感じてるこの安心感は、たった一人にしか抱いたことのないもので。


矛盾に揺れる心のまま、私は溢れそうになる涙を必死に堪えた。


‥‥‥‥‥
フライングネタに加筆修正。
放浪者が理一郎だとまだ気付いていない夢の頃の話。


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