【愛愁serenade/理撫】
それは、いつものようにただ触れるだけのやさしい口づけ。
唇からじんわりと温かさと愛しさが伝わってきて、とても心地良いものだった。
しかしその口づけは、徐々に深いものへと変わっていく。
それが何を意味するか、考えるまでもなかった。
撫子自身が望んでいたことなのだから。
「ん…」
わずかに開いた唇から零れるのは少しくぐもった吐息。
隙間を滑り込んできたそれは、吐息をも絡めとって口内をまさぐってくる。
静寂を破るのは淫らな水音と二人の荒い呼吸だけ。
やっとのことで彼女を解放した理一郎は、
わずかに乱した呼吸を整えながら熱を帯びた視線を送る。
いつにない欲望をちらつかせたその瞳に、撫子も身体の火照りを覚え始める。
「…本当にいいんだな?」
撫子は彼の問いに何の迷いも見せず、静かに頷いた。
「私も、もう…子供じゃないわ」
ちいさな頷きとその言葉を肯定と取った理一郎は、
撫子の肩を肌蹴させるとその白い柔肌に唇を這わせた。
ぴくりと身体を震わせた撫子の手を取って、やさしく指を絡める。
「…分かってる」
宥めるようなやさしい声とよく知る温もりに安堵した撫子は、
再び落ちてきた口づけに身を委ね、瞼を閉じた。
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エイプリルフール用に描いたサンプル漫画に駄文を加えてみました。
R18本設定だったのでこれもR15くらい?