「…ワユ、さん…?」
「え…?ひゃ、ぁっ」


名前を呼ばれた事で一瞬律動が緩んだのをいい事に、たまらなくなって僕はがばりと身体を起こして汗ばんだ身体をきつく抱き締めた。
驚きと、体内に埋め込まれている塊が予期せず動いた感触で高い声を上げた彼女は、泣いている事に自分でも気付いていなかったのか僕の胸の中で戸惑ったように濡れた頬を拭う。


「あれ……あれっ…?あ、あたし……なんで」
「……ワユさん、もう…いいよ。いいから……あとは、このまま…」

ちゅっと音を立てて雫の通る濡れた頬に優しく口付けてから、繋がり合った部分が抜け落ちないようにして彼女の身体を寝台に横たえてやる。
いつの間にか雲は増し、大粒の雨がうるさく屋根を叩く音に紛れさせるようにして僕はゆるりと腰を引く。ぁ、と呻くようにして漏れた彼女の声が微かに耳に届いたと同時、グッと腰を打ち付けて彼女の中を穿つと高い声とともにその細い体躯がしなやかに波打った。


「あぁぁっ!!」


元々人よりずっと体力が無いので、あまりもたない事は自分自身が一番良く分かっている。
僅かに腰を引いて浅い部分を刺激するようにしてから、勢い良く奥へと腰を進めるのを繰り返す。何度か彼女と身体を重ねた事で僕が学んだ、彼女が確実に悦んでくれる方法。

耳を叩く淫らな音は、雨の音なのか、僕と彼女の混ざり合う音なのか、もう分からない。
少しずつ早まる律動に体力の限界が近づいた頃、舌っ足らずに僕の名を叫びしがみ付く彼女があげた嬌声と思い切り締め付けられる感触に、僕は堪える事なく彼女への想いの丈を放っていた。




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