白石と財前くんが遊びにきた。財前くんとは久しぶりに会ったこともあってか、3人ともいつもよりテンションが高い。いつの間にか白石が持ち込んだチューハイやビールを飲み始めていた。

「浪速のスピードスターを馬鹿にしたあかんっちゅー話や!」

完全に出来上がってる。顔を真っ赤にした謙也は缶ビール片手に立ち上がって叫んだ。そういえば謙也が浪速のスピードスターと言うのを久しぶりに聞いたかもしれない。

「よっスピードスター!その缶ビール速攻で飲んでや!」
「タイム測っときますわぁ。5秒以下でお願いします」
「ちょっと白石!財前くんも煽るな!」
「よっしゃまかしとき!!」

3人とも目が座っていた。中でも一番危ないのは謙也なのに、一気なんかさせたら潰れるに決まってる。わたしの心配をよそに、謙也は一気飲みを始めてしまい止めようと伸ばした腕は行き場を失った。

「6秒っすわ」
「惜しいなあ」
「惜しいじゃない!もう!ちょっと、謙也大丈夫?」

飲み終わるなり謙也は座りこんでぐったりしてしまった。きっと明日は二日酔いで大変だ、それもわたしが。

「白石、謙也ベッドまで運んで」
「俺かいな」
「一気させたのは誰でしたっけ?」
「しゃあないっすわ部長」
「財前も共犯やん」

ブツブツ言いながら白石は謙也の腕を首にかけ、背中を支えて立ち上がらせた。そのせいか、ぐったりとそれまで黙っていた謙也が顔を上げる。

「名前ー…」
「え?…うわっ!ちょ、やめや!」

顔を上げた謙也は白石の首筋あたりに唇を寄せた。

「ちょ、ちょっと謙也!」
「俺や俺!名前ちゃうわ!」
「名前ー」

白石が真っ青になって謙也を引き剥がそうとするけどなかなかしつこい。じゅう、と音がした。嫌な予感しかしない。

「謙也さんと部長がいちゃついとる図めっちゃきしょいっすわ」
「財前くん写メ撮ってる場合じゃないから!」

諦めたらしい白石がそのまま謙也をずるずる引きずって寝室まで連れて行った。どすんっ、という音が聞こえたからきっとベッドの上に放り投げられたんだと思う。

「俺らそろそろ帰るわ…」
「よ、よかったらまた来てね…」
「お邪魔しました。あ、名前先輩もこの写メいります?」
「いらないから!」
「……もう絶対謙也に酒は飲ませへん」

白石の首筋を見て思わず目をそらしてしまう。場所的になかなか隠すのは難しそうだ。財前くんが「ハクがつきましたね」と余計な事を言った。

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