あたたかい。気のせいか食べ物の匂いまでただよってくる。(これは)(チキンだ!)重いまぶたをゆっくりと開けた。見たことのない部屋だ。少しせまく見えるのは、あちこちで本が無造作に積み重なっているからだろうか。ぱさり。立ち上がるとかけられていた毛布が落ちた。ここはどこで、俺はなぜこんなところにいるのか。そしてこの毛布をかけてくれたのは誰なんだ。

「あ、起きてる」

積み上げられた本の間から顔を出したのは、りんごをくれたあの女だった。(そういうことか)倒れた俺を女が家まで運んでくれたらしい。しかも窓の外が明るいということはもう朝じゃないか。なんともなさけない自分に頭を抱える。
 
「君お腹減ってない?朝ごはん、あるよ」

いろいろと考えることはあったのだが、俺はこの一言にすべてを後回しにしてしまった。昨日は我慢できたがさすがに限界だ。据え膳食わぬはなんとやら。目の前に用意されている食べ物を見ないふりなんてできるわけがない。わんっ。しっぽを揺らしながら答えた俺は行儀よくおすわりをした。


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