俺が脱獄までして成し遂げようとしている目的を話したところで、名前が口を開いた。
「ペティグリューさんを、殺してしまうんですか」
「……俺は、ジェームズの敵を討ちたい」
「他の方法だって、」
「すまない…それ以上、言わないでくれ」
12年間ずっと、ピーターを殺せば親友の敵は討て、俺の気も晴れると思っていたのだ。今更揺れるようなことを言わないで欲しかった。
「…ごめんなさい。ブラックさんがそう決めているなら、部外者のわたしは口出しできませんね」
「すまない、ありがとう」
「ブラックさん…」
「シリウスでいい。そんな畏まることないんだ、今まで散々おれを犬扱いしてきただろう?」
ニヤリと笑うと名前の頬が赤く染まった。
「だって、それは…!」
弁解しようとする名前の腕を掴んで引き寄せた。背中に手を回ししっかりと抱きしめる。
「シ、シリウスさん!」
「少しだけ許してくれ」
最後だから。呟くと、腕をばたつかせていた名前がおとなしくなった。