俺らの関係はなんだっけ。友達、同僚、恋人、家族、他人、そんな言葉には収まらないような、何か深い関係だと思っていたのに。

「何のつもり?」
「何のつもりって、たぶんベルくんの見たまんまだよ」

俺の目の前にいる女は、とても親密な関係にあったとは思えないほど冷たい目をしていた。昨日まではずっと同じ時間を過ごしていたはずなのに、何故だ。





「撃つ?」
「うん、撃つよ」

このときの俺の声は自分でも驚くほど落ち着いていて、返事をした彼女の声は恐ろしく穏やかだった。冷たい目と穏やかな声はなんだかミスマッチで違和感を感じた。





カチャリと俺の額に向けられたトカレフは妙に黒々と光っているように思える。心臓がどくりと音をたてた。もし仮に、ここで反撃をしようと俺が少しでも動けば、彼女はきっと引き金を引く。暗殺者としての実力は正直五分だし、現在の形成はどう考えても不利だ。なんとかしてこの状況を打破したいのだけれど。どうすっかなあ。





「なんでこんなことするわけ?」
「ベルくんに最高の日を過ごしてもらおうと思って」
「……最悪だっつの」

ケラケラといつものように笑う彼女には敵意も殺意も伺えなかった。動機ともとれない言葉の真意とは何だ。俺は溜め息をついて彼女を見た。悪意こそ感じ取れないけれど、俺を撃つという意志は本気だと彼女の瞳が語っている。





外で吹いている強い風のせいで窓ガラスがピシッと音を鳴らしたと同時に、俺は考えることを止めた。まあ、でも、

「俺、おまえに撃たれて死ぬなら本望かも」





彼女の細い指がぐっとトリガーを引いた。甲高い渇いた銃声と同時に俺の意識は暗闇に落ち……てない。は?生きてるんですけど。能天撃ち抜かれたはずなのに生きてるんですけど。事実を確かめようと恐る恐る目を開くと、銃からは灰色の煙と“Buon compleanno”と書かれた布が出ていた。床にはカラーテープと紙吹雪が少し散らばっている。いまだに状況が掴めず、あんぐりと開く俺の口を見ながら、彼女はゆっくりと頬を緩めた。

「ベルくん誕生日おめでとう」

イタズラに笑う彼女を見て、してやられたと悔しく思ったのは言うまでもない。やっぱり最悪の日だっつーの!








111222
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