ifの誘掖






※部♂スガ
※サリナ部長男体化
※微裏
※以上が認められる方のみ閲覧お願い致します




部室を満たすくり返される荒れた息遣いに聴覚は数分前からずっと犯され続けている。だがそれに対して不快は全く生まれてはこない、むしろ心地のよいものであるようにさえ感じた。BGMと言えば多少聞こえの悪いかもしれないが官能的な色を含んだその音は確実に行為をより円滑に進めさせる。



「あ、今更だが鍵を掛けるの忘れてたな」



「…それはほんとに今更、ですね」



ぼんやりと思い出した事を口にすると力無いそんな呆れ言葉が返ってきた。咎める元気も残っていないらしい、普段からあまり彼に好かれている印象がないのを前提に考えてみれば今の彼は中々どうして大人しい。シンドウ・スガタの中でエンドウ・サリナという男は間違いなく『苦手』の部類に入っている、もしかすると本人は隠しきっているつもりなのかもしれないが交わす会話の隅々からはそういった感情が滲み出ている。サリナが極度に賢いのかはたまたスガタの隠し方の爪が甘いのか…どちらが正しいかは分からないが、スガタが自分を食えない奴だと思っている事はサリナ本人もよく分かっている事柄だった



「そうか、でも誰かが来たら明らかにアウトな状況だと思うが?」



「……慌てればどうにかしてくれるんですか?」



「ふっ、本当にお前は冷静な奴だよ」



目の前にあるスガタの仄かに朱がかかる目尻に微笑を浮かべ息を吐く。吸い込んだ埃っぽい空気と漂う独特な性の臭いが鼻についた。扉に鍵が掛かっていないという事は誰かがやってきたら一発で誤解を招くであろう。何故ならば現在進行形で此処がそういう状況化にあるから。身に着けているのは今の今まで乱されていた制服のカッターシャツ一枚だけで下は一糸も纏っていない、惜しげもなく大胆に素肌を晒すスガタを弄んでいた自分。此処には簡単に消す事の出来ないだろうものがはっきりと残っていた。一応扉からぎりぎり見えるか見えないかの場所で行っているとはいえ少しでも部屋に足を踏み入れてしまえばすぐにバレる場所だ、大道具を立てかけて出来た物陰も意味がない。そして他の部員がやって来る可能性だってゼロではない。本日の部活動は休みと言ってはあるがもし部室に何か忘れ物をした部員がいたとしたら、もし居心地が良いこの場所でこれから過ごそうとしている部員がいたとしたら― 全ては仮定、ifの話だがどれも絶対に起きないとは決して言い切れない例えだ。その要素がぞくぞくと可笑しな背徳感を生んでいた、もし見つかったらと思うとそれだけで体が熱くなる。先にけしかけたサリナがこうであるのだからほぼ一方的にされるがままのスガタの気を想像してみると怖い位だ、事実耐え難い程の背徳感を感じていただろう…精神的にも身体的にも



「随分と濃かったみたいだけど、過度の欲求不満はあまり体にいいとは言えないぞ?」



舌に残るやけに粘着した苦味を諭すと金の瞳が半ば伏せ気味に逸らされる。後処理の事を頭に入れ吐き出された欲は残さず飲み干した、広がる圧迫感と後味の悪さにいい気はしなかったが仕方がない。それは本来飲めるようにと作られたものじゃないのだから



「そんなどうでもいい事、部長には関係ないでしょう」



「それを言われたらそうだな。少し気になっただけだよ、気にしないでくれ…まぁお前にとって1人で『あの笑顔』を思い浮かべながら性欲処理する以上に虚しい事はないのかもしれないけどね」



「………」



「うん、そういう意地っ張りな面も可愛いよ。スガタ」



そうぼやきサリナは指でなぞり上げた腿の内側に唇を落とす。達した後の体は敏感らしく触れた唇の生暖かさとかすれた焦げ茶の髪先だけにも反応を示していた。ほとんど日を浴びていない白い肌に吸い付いた赤い痕は色鮮やかに見える



「ふーん…太腿の内側にキスマークっていうのも中々いいものだな、ちょっとした情緒がある。 意地を張るのもいいが素直に行動しないと取り返しがつかなくなる場合だってあるんだ、その時後悔するのは他の誰でもない。お前自身だ」



「…部長」



「ん?」



「…あなたは一体何がしたいんですか?僕に関わる必要なんてないのに。それに何で、」



何でこんな事するんですか? 心から不思議だというように投げかけたスガタの問いかけに目を細める。ちらつく付けたばかりの痕が艶めかしい



「何だかすごく辛そうに見えたから、お前に関わるのは俺がスガタを好きだからかな。後輩としても…それ以上にも、だから放ってはおけないんだと思う。それより俺も逆に聞きたい、なんでお前は俺を拒まなかったのかがだよ。人肌恋しかったのか単に流されただけなのか…お前はあいつを想ってる筈なのにな」



「それは…―」



何度か口を閉開させてそのまま何も言わずにスガタは押し黙った。苦しげに歪む表情からはやっぱり変わらない感情が滲んでいる。それが可笑しくてサリナは笑った



「黙ってるなら良いように受け取らせてもらおう、これで堕ちてから後悔するパターンも増えた訳だ」



エンドウ・サリナは理屈的で不思議な人間である。その事もサリナ本人とスガタはよく知っているつもりだ。だからこそサリナはスガタの中で『苦手』という部類に存在しているのかもしれない



if



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男体化サリナ部長で部♂スガでした。ほんのりスガ→タクを匂わせましたが非常に分かりにくい上に結果よく分からない話に…すいません、一応私が微裏で許されるだろうと思うぎりぎりまでを書いたのですがどうなのでしょうか?


個人的にサリナ部長は常に全体を見渡して場の状況を理解してるイメージが強いです。スタドラでトップクラスの男前、部長好きです


ではここまでお読み頂きありがとうございました


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