曖昧、愛迷。






※ヘドタク+カタシロ
※いつにも増して意味不明+グダグダ注意




独りきりで取り残される室内はあの人がいる時よりずっとずっと冷たくてそれでいて暗かった。時々動いた拍子に軽く音をたてる手首の鎖や僕自身の呼吸音以外で部屋を満たす音はなく、今部屋に存在するのは僕と僕が作る音だけだ



独りになるのは別に珍しい事じゃない。1日を構成する大半の時間あの人はずっと傍にいる、僕が望んでいても望んでいなくても何だろうと僕の傍にいるのだ。だが毎日(時間感覚はなくなってきているのだけれど)ほんの少し決まって僕の傍を離れてどこかにいってしまっている時間がある。今がその限られた時間だから部屋には僕独りというだけの事。寂しい…とは思わないけどいつもこの時間が暇なのは確かだ(この気持ちがもし"寂しい"に分類されるなら僕は毎日彼がいなくて"寂しい"と思っている事になる、そんなのは癪だ。…―だからそう、話し相手が居なくて暇なだけなんだ)



ふぅと溜息を吐いて白い枕に頭を預ける。丸くなって横になる癖がついてしまっているせいか籠の中で寝ている訳じゃないのに自然と足は小さくベッドの上に折り畳まれていた。目を閉じればベッドの持ち主である彼の匂いが仄かに鼻につき安心している自分が其処にいる事に気付いてそんな思考をすぐに振り解く。時間があるから独りだからこんな事を考えてしまうのだ。何か違うものに意識を向けていれば気も紛れるだろうか、例えば水槽の中で泳いでいる魚に餌をやるだとかそういった事……それだけでもじっとしているよりは幾らかましに違いない。だがそう考え直しわざとベッドを軋ませてから起き上がった瞬間



革靴で床を踏み出したような足音が辺りの空気を揺らした



一瞬あの人が帰ってきたのかと思ったがそれは簡単に選択肢からは消えた。帰ってくるにはまだ少し早い時間であるし、それに眼に映る姿は全く彼とは似つかない全身をスーツに身を包んだ男だった。ゆっくり近付いてくる男の足音と自分との距離は徐々に縮まっている。黒い眼帯で覆われていない片方の眼は上から下までをじっと見つめているような気がした



「ほぅ、君が『例の少年』…実際に会うのは初めてだな」



「…あなたは誰、ですか?」



疑問を浮かべた、男の片方の眼と視線がかち合う。どこかで見た事がある気がするひんやりした冷たい色が滲む瞳。自分の何もかも全てを見透かされているような気がして…背を伝う冷や汗。体が、意識が、奥底の本能が、怖いと感じた。けれど反らしたくても反らせない何かに引き寄せられる



「なに、君を悪くしようなんて事考えてはいないから安心していい。私はただあいつが今酷く執着しているだろう少年…つまり君をこの眼で見ておきたかっただけだ。あいつがここまで何かに執着するのも珍しい事だからな。…だがその理由も分かった気がするよ―」



君は実にいい眼をしている 指で顎を掬い上げ呟いたその言葉は独り言に似ていた。話しかけているようでただ1人納得している。酷く居心地が悪い、息が詰まって苦しい……だが長くは続かずすぐに和らいだのが唯一の救いだった。ぱくぱくと空気を取り込もうと口を開いた瞬間、彼はそれを見計らっていたんじゃないか。そう思える彼のタイミングの良さだった



「おかえり、偉く早かったじゃないか。今日の総会の議題はそんなに安易に決まる内容のものだったのか?」



「………」



男の手首が強く握り込められる。顎を掬い上げていた指がいつの間にか離れていた事に安心感を覚えた、何も言わず黙ったまま彼の藤色の眼が鋭く自身を射止めている事に気付いた男が彼に向けて薄く笑みを零す



「ふっ…そう怒るなよ。少し話をしていただけさ、私はお前がここまで独占欲の強い人間だとは思わなかったぞ?ヘッド」



「…俺に何か用があるなら俺に直接言え、わざわざ彼に話しかける必要はないだろう」



「なるほど、予想以上にお気に召しているらしい。良かったじゃないか…今度はちゃんと捕まえておけよ、またお前の掌からすり抜けられる事のないようにな」



手首に食い込んでいた手を解き彼の耳元に囁いた男はそれから来た時と同じように部屋を出て行った。ふっと緩んだ空間の空気を瞬間的に肌で感じ取ったらしい、彼は大人しく僕の隣に腰を下ろす



「……大丈夫だったかい?」



「あ、うん…何もされてないし大丈夫」



「…そうか―」



ならいいんだ 気怠げに息を吐き顔を伏せる様子は普段と変わらなかった。先程を思わせる陰もない。なのに今の彼は不安定に視界へと映る、それはなんだか泣いてしまいそうにも見えた



男の台詞を頭の中で反濁しながら僕はすぐ傍にいる彼を覗き込む。聞きたい事は沢山ある。あの男は誰なんだ?どういう関係?なんで…



なんであんなに怒ってたの?



…そんな口から簡単に滑り落ちてしまいそうな想いが募ってどんどん溜まっていくのに、それなのに聞く事は出来ない。聞いてしまったら何かが変わってしまう気がした



湧き上がった名前も付かないそれがじわりじわりと意識に侵食していくのを押し殺して僕は彼の手に自分のものを重ねた。重ねた手の体温のぬるさは心地が良くてざわついていた心も幾らか安らいだ



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まず初めにすいませんでした、びっくりするくらいのグダグダ感で書いた本人もよく分からない出来に…ただタクトに絡むカタシロさんに静かにキレるヘッドが書きたかったという^p^


カタシロさんの言葉に動揺するタクトと色々な感情が混ざって泣きそうになるヘッド。こんな曖昧な2人の関係が変わってくるのにはきっと恐ろしく時間がかかると思います


では最後まで閲覧ありがとうございました


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