犯す白に快楽を拾う
※若干カルピスプレイ
※微裏(念のためR15)
転がるグラスの元凶、その薄い液体が今から自分の目に映る事はきっとないだろう―
重ねた唇に残るほのかな味はもう何年も口にしていなかった甘さだった。幼い頃はよく飲んでいたそれもあまり好まなくなっていったのか、だが久々に口にしてみれば案外いけるものだと。じわりじわり思い出す
自身の体の下で瞳を濡らす千景に思わず口元を歪める。吐き出された息は妙に艶やかな気体で熱を含み…一瞬こいつが子供だという現実が遠のくような錯覚に蝕まれた
かどた、音にならず揺れ動いただけの口端を舐め上げ外していく段々と外れたボタンの数が増える。ああこの首筋の痕はしばらく色濃いままだろう。腹へ首を撫でる手を黙って見つめる視線さえ愛おしい。救えないと言葉を投げつけられるのも仕方がない程に。浸食され毒された、だから歪んだ感情であると頭で理解していても
愛したい(苛めたい)
「ひ、ぁっ」
揺らした容器の中身がチャプチャプと揺れた。指でなぞり沿った箇所に。注ぎ落ちる白い原液を焦らすように垂らしていく。一カ所、二カ所…順々に侵される感触にびくびくと反応し千景の体は震える
「あっあ…つめた…っやだやだ気持ち、悪い。べたべたす…っ!」
「そういう割りにはちゃんと反応してんじゃねぇか。嘘をつくな」
身悶える体を無理やり伏せては、若干熱帯びる自身を緩く握り込めば弱い抵抗を黙らせるのはいとも容易い。一度拾ってしまったら最後。快楽を吐き出すまで本気で拒む事はしない、こいつをそうなるよう躾たのは他でもない自分だ。それは誰よりも知っていると自負出来る、きっと千景本人よりも
白に呑まれる鎖骨に舌を這わした。衝動的に。水で薄めるよりも何倍も濃い甘さにびりびりと舌先が痺れる。唇など非ではないくらいその痺れは酷く強いのだ。原液なんて飲む事もまずない、甘いのは当たり前だろうが。 ああ、意外にも苦に感じていない自分が不思議だ。だが訳なんてもの…悩むまでもない
「これ、好きなんだろ? 好きなもんで感じられんだから幸せだろうが」
なぁ、千景。その笑みに何か言いたそうに動いた千景の口は宙に浮いて閉じた。お前だから甘いのかあなただから甘いのか― どちらにしろ限定である事に変わりはないのだと。犯してはゆっくりと空間は白に染まる
犯す白に快楽を拾う(元凶は甘さに溶けて色を消した)
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※企画提出文
門六@カルピス
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