※残連
(彼と過ごす2人だけの時間は緩やかで温かくて、少しだけ甘かった)
不意に膝の上へ落ちてきた僅かな重みに、残夏はそれまで辺りに散らばっていた意識をかき集めた。その重みの正体が一体なんなのかはすぐに分かった、視線を自身の膝の上に落とす。癖がかかった焦げ茶色の髪に、こちらを見上げる新緑色の瞳と視線が混ざり合う。それはどちらも残夏にはない反ノ塚だけが持つ色で、同時に残夏が大好きな色達だった
「ざんげ、」
普段以上に緩い甘さを含んだ声で名前を呼んだ反ノ塚が残夏の頬に手を伸ばす。その声に答えるようにゆっくりと髪を撫でる、撫でられる感触が心地良いのか気持ちよさそうに目を細めてすり寄ってくる反ノ塚の姿はまるで飼い主に甘える猫の姿に見えた。そのことに残夏は少しだけ戸惑う。愛おしいと思うのと同時にこんな風に甘えられることはめったにないなとも思ってしまう、だからどうしたらいいのか分からない、そう感じさせる程に今の反ノ塚は珍しかった
「…急にどうしたの、レンレンがこんな風に甘えてくるなんて珍しくない?」
指で髪を梳きながら素直にその戸惑いを口にする。もしかすると特別な何かがあるからなのか、それともただの気まぐれなのか。しかしこうやって色々と思案していても結局はあまり意味のないことだった、考える素振りを見せやがて呟かれた反ノ塚の独り言のようなそれに残夏のペースは更に狂わされる
「んー…なんていうか残夏不足?みたいな感じなんだよなぁ。だから充電が必要です」
「……あのさぁ、レンレン」
「なんだ?」
「それ、何も考えずに言ってる? …あんまりそういうこと言っちゃうのは良くないと思う、どうしたらいいか分からなくなるんだよ」
今お兄さんすごく困ってるんだからね、そんな軽い口調とは裏腹に僅かに色づいた残夏の顔色も反ノ塚に負けず劣らず珍しいものだった。自分の気まぐれに珍しくペースが乱されている残夏に反ノ塚が楽しげに笑う
「とりあえず甘やかしとけばいいんじゃね」
(甘さと珍しさと君不足)
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残夏不足な反ノ塚とたまに甘えてこられると真剣にどうしたらいいか分からない残夏。馬鹿ップル
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