※反ばら




街に出て男に声をかけられる、なんて珍しくもないよくあることだった。だからそんな奴らのあしらい方にはそれなりに長けていたし実際何度もそれで切り抜けてきた、無視するか冷たく扱えばやがて諦めて自分の目の前から消えてくれる。男なんて皆そんなもの…けれど今回は珍しくそれが外れてしまったらしい



(あーもう!鬱陶しい!!)



あしらってもあしらってもしつこく粘り続ける男にカツカツとヒールを踏み鳴らす。募り募ったイライラはそろそろ限界に近かった。これが妖怪相手ならとっくに氷漬けにしているところだ、しかし相手は仮にも一般人。どれだけ男が嫌いでも一般人を氷漬けにする訳にはいかない…氷漬けにしてやりたい衝動には耐えるしかなかった



それでもせめて一言なにか言ってやろうと野ばらが口を開こうとした瞬間、後ろから引かれた掌に全てをもっていかれてしまった。崩れかけた体を引き寄せ強引に閉じ込めてきた腕は見慣れた褐色で、そのことに少し安心する自分がどこかにいた



「…なぁ、何やってんの?」



完全に固まっている男をじっと見つめながら反ノ塚は静かにそう問いかける。普段より幾らか低い声とぴりぴりとしたその雰囲気がまるで別人のように見えて、ああこいつでもこんなに怒ることがあるんだと素直に思った



「…いつまで気安く触ってんのよ、早く離して」



足早に去っていく男の背中を見送り野ばらは腕を解くよう促す。僅かに表情を伺うと反ノ塚はいつの間にかいつもの調子に戻っていた、いつも通りの緩く気だるい雰囲気。



「えーせっかく助けたのに酷くね?」


「誰も助けてなんて言ってないわよ…でもあんたもああいう顔する時あるのね」



面倒くさがりでどちらかと言えば平和主義者なのに―




「あー…俺そんな怖い顔してたんだ。けど野ばらが男に声かけられてるの見てなんかすごい嫌だったんだよ」




「……なによ、それ。まぁ今回は助かったから一応お礼言っとくわ、ありがとう」


「あ、今のちょっときゅんときt「調子にのってるならシュレッダーに巻き込むわよ」


「ごめんなさい」









※ばら反(会話文)




「俺も戦える妖怪の先祖返りだったら良かったのになー」



「は?」



「いや、一反木綿って見かけ可愛いけど戦えないじゃん?出来ることって言ったら空飛べるくらいだし…もし戦える妖怪だったら俺も野ばらのこと守れるからさ」



「…いきなり何言い出すかと思えばほんとくだらないわね」



「いやいや何にも出来ないって歯痒いんですよ、野ばら姐さーん」



「うるさい、あたしはわざわざ守ってもらう必要なんてないの。大体あんたを守るのがあたしの仕事なんだから勝手に人の仕事取ろうとしてんじゃないわよ。あんたは黙ってあたしに守られてればいいの、怪我したら許さないから」



「……」



「…ちょっとなに変な顔してんのよ」



「うん、ごめん。不覚にもときめいたというか」(ほんと格好いいこと言うよなぁ…複雑だけど、)



((傷一つつくことさえ許さない、))




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野ばら姐さんがナンパされてるの見てつい苛々もやもやしちゃう反ノ塚萌え、野ばら姐さんに片思いしてる反ノ塚が好きすぎて困る。ばら反は二章が絡んでくると途端に切なくなるけどこの話はそういうの皆無な方向で、ただ単に野ばら姐さんまじ格好いいっていう話



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