※残連
※所謂朝チュン、事後注意




僅かに外から差し込む柔らかな朝日に沈んでいた意識がゆっくりと浮上してくる。体に残る心地よい疲れと眠気に起きるのが億劫に感じて、残夏は目蓋を閉じたまま隣にある愛おしい体温を求めた。するするぱたぱた。暫くの間シーツの上をさまよい漸く指先に触れた手首を握り締める。ああ良かった、ちゃんといる…目蓋を開けて最初に映った彼の姿に酷く安心感を覚えた



「…レンレン?」


「…おはよ。ごめん、起こしちまったよな」



穏やかな微笑を浮かべながら髪を撫でる反ノ塚の掌は大きくて優しいもので、残夏はそれを大人しく受け入れる。鼓膜を揺らす少し掠れた声に昨夜の情事が頭にちらつく。唇から零れる熱い吐息、背中を流れる汗と欲情してぐずぐずに溶けきった瞳…その全てが鮮明に思い出せてベッドの上で上体を起こして座っている彼に思わず目を細めてしまった



「…もう起きるの?いつもは昼過ぎまで寝てるのに珍しいね」


「あーなんか今日は早く目覚めちゃってさ、腹も減ったしラウンジで先に朝飯食べようと思ったんだよ」


「……まだ早くない?」



淡々と答える反ノ塚に対して残夏は渋るように言葉を投げかける。正直口ではまだ早いと言いつつも、とっくに早朝と言える時間が過ぎてしまっているのは分かっていたが彼をこのまま行かせるのは惜しい気がした。第一幾ら丈夫だとは言え昨夜それなりの回数の行為に及んだのだから、彼の体にかかった負担は自分の非じゃない筈だ



「もうちょっと寝てからあとで一緒に食べに行こうよー、てかレンレンしんどくないわけ?体大丈夫なの?」


「おー大丈夫大丈夫」


「声、掠れてるのに?」


「…いやほんとに大丈夫だから。俺結構丈夫だし声くらいすぐ戻んだろ、女の子じゃないんだから心配しすぎだって」



残夏は意外に心配性なんだなぁ、こっちの言い分や心配の言葉を"大丈夫"の一言だけで片付ける反ノ塚に自分の気持ちが伝わっていないのが何だかもどかしくて…いつもの緩い笑顔に気分が降下する。どうして分かってくれないかなぁ…大丈夫なわけないじゃない、視なくたって分かるくらいまだ疲れてるって顔してるくせに。ボクにこれ以上心配をかけたくないからなのか、それとも変なプライドでもあるのかは分からないけどそんな嬉しくない気遣いはいらない。…そこまで言うなら大丈夫って言える証拠を見せて貰おう




「ふーん、あんなにヤったのにまだ元気なんだー。ならこれからは安心して回数増やせるね、レンレンったらすごーい☆」


「〜〜〜〜〜っ!!?」




明るくそう言いながら思いっきり腰に抱きついた瞬間、声にならない悲鳴と同時に勢いよく跳ね上がった反ノ塚の体に残夏は意地の悪い笑みを浮かべる。口ではああ言ってても体は素直だ、変に意地を張るのが悪い。散々悶えた後、恨めしげにこっちを睨んできた視線に思わず笑ってしまう



「…残、夏っ……おま…!」


「ほーら全然大丈夫じゃないじゃん。お兄さんレンレンのことはなんでも分かっちゃうんだから隠し通せる、なんて思わないでね」


「…視るのは反則じゃね?」


「残念、今回は視てません。わざわざ視なくてもこれくらい普通に分かるよ、それに昨日の今日なんだから黙って心配されてて?」



はい、分かったら大人しく寝ましょー。ぐいっと腕を引いてそのままずるずるとベッドの中に引きずり込む、背中に腕を回し頭を抱え込むように抱き締めると今度は何にも言わず反ノ塚は大人しく腕の中に収まった。それが可愛く思えて何だか暖かい気持ちになれた



「俺、お前の抱き枕じゃないんだけど」


「レンレンもボクのこと抱き枕にすればいいじゃない。お互いがお互いの抱き枕なんてボクたち仲良しだねぇ」


「…なぁ、残夏」


「なーに?レンレン」


「……やっぱ腰痛いし体だるいわ、大丈夫じゃないっぽい」



責任取れよ、恐る恐る抱き締め返してくるその動作はどうしたって愛おしさしか生まなくて…いつまでもこの微睡んだ朝が続けばいいと願わずにはいられなかった




(そういえばさっきの冗談だよな?あの…回数増やすってやつ)
(えっ、なんのこと?ごっめーん、分かんないや☆)
((あ、次死ぬな俺))




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心配かけたくないのと女の子じゃないんだからいちいち痛いとかだるいとか言ってたら気持ち悪いしまず言いたくないっていうプライドから無理して振る舞う反ノ塚とそれを全部見抜いた上で反ノ塚を心配したい残夏。しかし糖度たけぇ…



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