※反→→(←)ばら(ばら反寄り)




「野ばらちゃんはどうしたら俺のこと好きになってくれんの?」



部屋に戻るため踏み出した一歩は反ノ塚のそんな言葉と共に引き止められる。けれど、手首を掴む手に込められた力とは反対に零れた声は弱く揺れているような気がした。ほんの一瞬、反ノ塚の行動に虚をつかれた野ばらもすぐにそれには気付いた。そして呆れながら眉間に皺を寄せる



「…なんて顔してんのよ、あんた」



そんな顔したって可愛くともなんともないわ気持ち悪い、あまりに酷いその表情に辛辣な罵倒を浴びせる。それを受け僅かに下がる目の前の眉。何も知らない他人が見ればきっと無表情か不機嫌に見える表情なのだろう、だが不本意とは言え伊達に長く付き合っている訳ではない。野ばらからして見れば今の反ノ塚は泣いたっておかしくない、まるで迷子になった小さな子供のような…そんな表情にしか見えなかった。



心の底から面倒くさい、そう思えて小さく溜息を吐いた。これが可愛い女の子ならまだしも相手は黒くて図体のデカいだけの可愛くもない男、子供だって好きな方じゃない。おまけに"どうしたら好きになってくれる?"…なんて答えようがない。にも関わらずこちらの答えを待っている反ノ塚が野ばらには少し煩わしく感じるのだ、興味がないと切り捨てているのにそれでも自分のことを好いているというその淡い想いも… けれど一番苛立たしいのはそこまで考えていて何故か反ノ塚を放っておけない自分自身だった



「…あたしがどうしたらあんたを好きになるか、ですって?」



問いかけられた言葉を再確認するように繰り返し反ノ塚を見つめる。冷たい色をした瞳で、真っ直ぐに、射抜く




「そんなの知らないわよ…ただあたしは本当に嫌いな奴のSSやれる程お人好しじゃない。それにあたしがあんたのこと嫌いだったらあんた今頃氷漬けだと思うけど?」




ほら、分かったなら離しなさい。いつの間にか緩んでいた手を振り払い野ばらは再び部屋に戻るため歩き始めた。黙ったままの反ノ塚に構わず階段に足をかけ、途中まで上がったところで振り返る




「明日も学校あるんだからくだらないこと考えてないで早く寝なさいよ、うだうだ悩んでるなんてらしくないんだから」




そう言って去っていく野ばらの背中は紛れもなく反ノ塚にとって美しく憧れだった。カツン、カツンとヒールの音が遠ざかっていくのを感じながらその場にしゃがみ込む



「…あー…もう…参ったなぁ」



(絶対冷たくあしらわれて終わりだと思ってたのに)



はぁ、と息を吐き髪を掻き乱す。真っ直ぐこっちを射抜くような目と彼女の姿が頭をちらつく度だらしなく頬が緩んだ



(…あんなこと言われたら期待するなってのが無理な話だろ)



決して好きだと言われたわけじゃない、むしろ彼女の中で自分の存在なんてまだまだとるに足らない存在だ。けれど心配してくれることが、嫌いじゃないと言ってくれることが…たまらなく嬉しくて幸せだった




「…ほんと野ばら姐さんかっこよすぎー」 ぽつりと呟いたそれは夜のラウンジに静かに溶けていった




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反→→(←)ばら、どっちかと言えばばら反寄りでした。野ばら姐さんのことが好きすぎる反ノ塚となんだかんだ言って反ノ塚を放っておけない野ばら姐さん。3号室大好きです!反ばらもばら反もほんと美味しい、太陽と月は神曲すぎた



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