※蜻連
※2人共キャラが迷子




「貴様の反応はどうしてそんなに薄いのだ!!」



実につまらんぞ、そう高々とラウンジに響き渡る蜻蛉の声に反ノ塚はゆっくり顔を上げた。勢いよく指された指は思っていたより目先にある



「そう言われてもそっちが勝手に思ってるだけだろー?俺にどうしろっていうの」


「いや、勝手に思っているだけではないぞ。私が朝からつけ回しているというのにここまで無反応とは…普通こんなにつけ回されていれば多少怖がるなり気味悪く思う筈だろう。放置プレイは嫌いではないが流石に飽きたぞ、肉便器よ!」


「…お前よっぽど暇なんだな」



確かに朝からつけ回されていたのは分かっていたが、大した目的もないのに男相手にストーカーまがいとは相当暇だったらしい。度々背後から聞こえてきていた「むっ!私を閉め出すとはいい度胸だ、この扉ドS!!」だの「毎日誰かの尻に敷かれている椅子、まさにドM!!」にツッコまないで本当に良かったと思う。若干引き気味の反ノ塚をよそに蜻蛉の持論は更に続いていく



「この世は全てSとMに判別出来るというのが私の持論だ、だが貴様は私の持論からあまりにかけ離れている。…こんな存在は初めてだぞ?スーパーノーマルなどつまらん!」


「えー別に普通っていいことじゃん」



蜻蛉がどんな持論を持とうとそれは自由だ、とやかく言うつもりも勿論止める権利もない。だが自分は常人には理解することが出来ない嗜好を持つより何の面白みもない普通の方がいい。…反ノ塚の発言はそう思ってのものだったのだが、どうやら蜻蛉にはいまいち伝わっていなかったらしい。「よし、ならばこうしよう」 良い案を思いついたとばかりに手を叩き反ノ塚へと少しずつ距離を詰める



「私が直々に貴様を調教してやろうではないか!いつだか年上に弄ばれたいと言っていたことだしSよりはM気質だろう、それに我が幼なじみ達を含めここの住人はSが多いからな」


「心の底から遠慮しときます…てか、こっちくんなよ」



徐々に縮まっていく距離から逃げるように後退る。背に壁が当たり逃げ道がなくなるとすぐ目の前にまで迫ってきていた蜻蛉で視界がいっぱいになった、もう一歩進めばお互いに触れてしまいそうな距離。その近さに妙な気恥ずかしさと気まずさを感じて思わず目を反らした



「え、ちょ、近いんだけど」


「なんだ照れているのか!可愛い奴め、悦いぞ悦いぞー」


「いやそういうんじゃなくて…」


「連勝」



いつもよりずっと低い声音で呼ばれた名前にびくりと肩が跳ねた。耳元へ愉しげに孤を描いた唇が近付いていく、吐息混じりで囁かれた言葉が静かに鼓膜を揺らした



「私から逃げられると思うなよ?」


「……っ」



囁かれた言葉の意味を理解した瞬間、背筋がぞくぞくと粟立つような感覚に襲われた。蜻蛉の声が頭の中で繰り返し繰り返し駆け巡り染み込んでいく。唇が寄せられていた耳がびっくりするくらい熱い、まるで発熱でもしたみたいに…




(…ちょっと待って、なにドキドキしてんの、俺)




うるさく騒ぎ出した鼓動と火照りを信じたくなくて、どうにか鎮めようと躍起になる。しかしそう思えば思うほど何かにはまっていくように蜻蛉の視線が、存在が、大きくなっていく




(いやいやないない、そんなん有り得ねーよ…だって)




それもちょっと悪くないんじゃないか、とか思ったなんて― 何が何でも絶対認めたくない



「ん、どうした?やけに静かになったな。心なしか顔も赤いぞ、我が性奴隷よ!」


「………質の悪い風邪にかかったかも」



自分は誰がどう見ても普通で蜻蛉のような変わった嗜好なんて決して持っていない。自分自身にそれを言い聞かせる反ノ塚には、そんな言い訳でごまかすしか他に方法がなかった




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蜻蛉×連勝
かげさま難しすぎて…2人共誰状態。反ノ塚はスーパーノーマルだけど、SだったとしてもMだったとしてもどっちにしろ美味しいです。かげさまの発言にどきどきする木綿が書きたかった。右に首輪つけたカルタちゃん、左に首輪つけた木綿従えるかげさまが見たい



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