※残連
※プリンスアニメージュ2012 springネタ




本日、章樫館に住む男性メンバーは皆いつもとはちょっと違った格好をしている。違った格好とは言っても別にコスプレとかそういった類のものじゃなくてちゃんとした格好、所謂正装ってやつ。あとはオプションに眼鏡。でも正装してるだけあって皆普段と雰囲気が違ってたり結構さまになってたから他の人はともかくボクは割と楽しめたかな?というのが素直な感想。まぁ渡狸だけはどうみても完全にお坊っちゃんにしか見えなかったから笑っちゃったけどさ(実際お坊っちゃんなんだけどね!) で、今はせっかくだから記念に写真でも撮っておこっかーってなって皆で写真を撮った後だったりする。写真を撮り終わった瞬間、自然と皆ばらばらになって各自部屋に戻っていったから残念ながらさっきの賑やかさはもうない。案外そうたん辺りはちよたんにそのままの格好で会いに行ったりしてるのかもしれないけどきっと皆落ち着かないんだろなぁ




階段を登っていく皆を見送りながら、これからどうしようかなと考えてるとふとラウンジの隅っこでボクはレンレンの姿を見つけた。テーブルの上で力なくだらけてるレンレンと傍にある飲みかけのカフェオレ。多分一休みしてるのは間違いない。一瞬階段に向かいかけていた足を方向転換させてレンレンに近付く、隣の席に座って肩に手を置くとボクの存在に気付いたらしいレンレンはゆっくり顔を上げる



「えらくお疲れみたいだね、レンレン」


「おー、残夏かぁ…うーん慣れない格好してるからちょっと疲れちゃったみたいなんだよね」



俺も歳なのかなー、とか言いながら大きく欠伸を零すレンレンの眼はとろんとしてて少し眠そうだ。彼は普段着がジャージだから余計こういう格好が疲れるのかもしれない…てか歳って君まだ高校生じゃないの、レンレン



「あーレンレンいっつもジャージだもんねー、学校行く時だけは制服だけど」


「だって楽よ?ジャージ。むしろ残夏もミケも毎日スーツ着てて疲れないの」


「まぁボクたちはそれもお仕事だからね、もう慣れちゃったよ」



ふーん、大変なんだなぁなんて労いの言葉をかけてくれるレンレンとボクは他愛もない会話を交わす。レンレンとの会話は大抵がくだらないことだったり世間話だったりするけどのんびりしてて話しているとなんだか落ち着くから不思議だ、きっと嫌なことを言ったりボクが聞かれたくないと思ってることを無理に聞いてきたりしないから…リラックスして話せるんだと思う。まぁたまーに話聞いてるのかな?って思う時もあるけど、でもそれ以上にボクがレンレンに癒やされてるっていうのは確かだからそんなことで責めようなんて全く思わない。むしろそういうところにもちょっと和んじゃうんだけど…もしかしてボクって可笑しい?



そんな風にボクが自分の感覚へ疑問を抱いている間にもレンレンは「よく考えたら俺懇親会以来だったんだよね、正装とかすんの」と話を続ける。そしてそのまま大きく伸びをしてはぁと溜息を吐く



「でもやっぱりいつもの格好が一番落ち着くわ。…これ飲んだらさっさと着替えちゃお」


「えーレンレンもう着替えちゃうのーつまんなーい!」


「いや、つまんないって言われてもどうしようもなくね?…てかさ思うんだけど、俺ってほんとにこの格好似合ってんの?ミケはすげー似合ってるって言ってくれたけどあいつお世辞とか上手いから実際どうだか分かんないじゃん」



どう、今の俺って格好いい?そう珍しく饒舌で言った後レンレンはボクの方を見つめながら首を傾げた。その姿は確実にボクの答え待ちで、細い首が折れちゃうんじゃないか心配になる。あー…まさかそんなこと聞かれるとは思ってなかったなぁ… 見つめられる目と視線を合わせてレンレンの頭の先からつま先までを流し見る。すらりとした体に映える黒を基調としたスーツに、緩められたネクタイから僅かに覗く鎖骨が視界に映る。髪の色と似た焦げ茶色のフレームをした眼鏡もよく似合っていて、レンズ越しにあるのはいつもの新緑色― …確実にこのままの姿で街を歩いたら逆ナンかスカウトにでもあいそうだと思う。元々結構整った容姿をしているのに加え、今の格好をしたレンレンを女の子が放ってはおかないだろう。いつもとは違った意味で高校生には見えない。高校生にあるまじき色気……そんなだから、実は最初レンレンがここに降りてきた時から結構



ムラっときてたんだよねー



新緑色を覆っていた眼鏡を外し、引き寄せたレンレンの唇を塞ぐ。完全に不意打ちだったせいか目を丸くして驚いてるレンレンが可愛くて内心で笑みを浮かべる。軽く啄んだ唇から小さく卑猥な音が零れた



「…っ、ん…」



どこか甘くくぐもった声を耳にしながら上顎を舐め最後にちゅう、と舌を吸い上げてから唇を離した。流石にこれ以上やると歯止めが聞かなくなるっていうのは経験済みだからね、名残惜しいけど我慢。熱っぽい息を吐き出すレンレンにボクはにっこり笑いかける




「そーたんの言葉がお世辞かどうかは分からないけどボクはこういうことしたくなっちゃうくらいよく似合ってるし色っぽいと思うよ?…でも、キスするのに眼鏡は邪魔だよねぇ」



まぁきっとそーたんもお世辞じゃなかったとは思うんだけど、それでもレンレンをそういう目で見るのはボクだけでいいなんて思ってしまうのはボクがそれだけ君に翻弄されてるって証拠。さっきまで彼が掛けていた眼鏡を手渡すボクにレンレンは眉を寄せる、浮かんでるのは呆れと困惑がごちゃ混ぜになったみたいな複雑な表情だった



「………今の、誰も見てなかったから良かったけどもし誰かに見られてたら流石に言い訳出来なかったぞ?そうなったらどーすんのよ」



「うふふ、その時はその時だってー☆ 見せつけちゃえばいいじゃない」



「絶対やだ、無理。誰かさんと違って俺はちゃんと場所をわきまえるから…つーかそんなことしたら恥ずかしすぎて死ねる気がする」



「まーたまたーそんなこと言ってほんとはレンレン見られるの好きな癖に」



ボクが意地悪く笑ってからかってやったら「……好きじゃねーよ」ってレンレンは否定したけど、実はまんざらでもないって思ってるのは分かってるんだよね。視たって言ったら怒るだろうから言わないけどさ…うん、前言撤回。やっぱり我慢なんて出来そうにないからこのまま部屋に連れ込んじゃおうか



残ったカフェオレを再び飲み始めたレンレンを見ながらボクはこっそり頭の中でこれからの予定を考える。いつもと違うようで結局は同じ、そんな1日のお話




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正装+眼鏡の反ノ塚がツボすぎて荒ぶった。高校生の色気じゃない



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