バカの悪あがき | ナノ
3


***


「おい、吉原、どういうつもりで」
「いや、だっておもしろそうじゃん」
「…はぁ」

そのまま吉原家に直行した三人。
吉原に誘われた雪村は迷うことなく羽田たちについてきた。

そして三人でテレビゲームをした。気付いたら熱中してしまい、夕方になると、愛想の良い吉原の母に夕ご飯を振る舞われ、今雪村は入浴中だ。

ここまで雪村の馴染み具合が半端でない。
違和感がなくて逆に恐ろしい。

そして雪村が居ない今、羽田は吉原に怒りをぶつけようとしたが、こうも潔く言われると、怒る気が失せてしまう。

ため息を吐いた羽田が、せめてもと吉原の脛を蹴ったところで、吉原の部屋のドアが開いた。


入ってきた雪村は、まだ濡れた髪をそのままにしていた。
そして何故かその表情は、キラキラと輝いている。


「え、ちょっと雪村くん、髪べちゃべちゃだよ」

思わず彼の肩にかけてあるタオルでわしゃわしゃと拭く。柔らかいな、と思ったところで、ハッとその手を止めた。

忘れていたが、彼は危険人物だ。

そのまま固まっていると、タオルの間から顔を出した雪村が、笑顔で羽田を見上げると、嬉しそうに言った。

「吉原の風呂に黄色い白鳥がいっぱい浮いてて可愛かったぞ!」

その笑顔があんまりにもきらきらとしていて、イメージの中の雪村と違って見えたからか。


アヒルだよ、とはあえて言わなかった。



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