▼偲ぶ劣情

微※



「いつも悪いわねぇ、シゲオ君」
「いいえ。勉強見て貰ってる立場なので…女の子ですし」
「本当にありがとうね。どうぞゆっくりしていって」


学校の帰り道、近所に住んでいるおなまえを家まで送り届けるのがすっかり日常のひとつになっていた。
慣れた様子で部屋に上がると、おなまえは簡易テーブルを部屋の中央に出してクッションを置いた。


「今日シゲ君のクラスは地理小テストあった?」
「なかったよ。地理は明日」
「じゃあ範囲を教えてあげよう」
「えー…卑怯じゃないかな…」
「ヤマハリダヨ卑怯ジャナイヨ」


「何も答え教えるんじゃないんだし」とおなまえが伸ばした足先を交互に揺らす。
制服のまま靴下を脱いだ素足が自分の隣でパタパタ揺れる様をモブは横目で見た。

一人じゃ勉強する気が起きない。けれど塾に行く程しっかりやりたい訳でもない。
毎日の復習を習慣づけたいというおなまえに、それならばと名乗りを上げたのは6年生の頃だった。

おなまえの地理の教科書を開いてモブが文字を目で追っていると、正座をしているモブの膝をおなまえの足が擽ってくる。


「…まだ一ページもしてない」
「シゲ君はそのままでいいよ。待ってる」
「待ってるって……」


そう言いながらもおなまえは擽る足を止めない。
「おなまえちゃん」と少し強めに名を呼んでも「はぁい」と返事をするだけで柔い力で膝の内側を摩ったり啄いたりはそのままだ。
チラリと膝元に視線を下ろすと、器用に動く足の指たち。
何でか力が込められた指先や開く指の隙間を見ていたら、胸の底がざわつき始める。


「…」


モブが教科書を閉じると、おなまえは「隣行っていい?」と尋ねる。
その頬にほんのりと朱が差していて、モブは頷いた。
おなまえは嬉しそうにモブの隣に寄ってくると、モブもそちらに向き直る。


「最近多くない?」
「ん……嫌かな…?」
「……嫌、ってんじゃ、ないんだけど…」


おなまえがスカートを捲っていく。
露わになっていく太腿を追うように視線が動いてしまって、淡い水色の下着で止まった。
おなまえがそれに指を掛けると、「シゲ君も」と言われてモブもベルトを外し下着を僅かに下ろす。

納められていたモブの半身は平常時よりも熱を持って固さを増しつつあった。
おなまえも下着を脱ぎ払うと、片腕でスカートを捲ったままゆっくり足を開く。
汗をかいたように水分が滲んでいる秘所をおなまえが指で擦ると、少しずつ水音が立ってきた。
それを見てモブも自身をゆるゆると擦り始める。


「なんかね…最近シゲ君といるだけでジンジンするんだ…」
「え…大丈夫なの?」
「わかんない。…シゲ君はならない?」
「僕は……一人でいる時にたまになるけど…すぐ収まるよ」
「そう、なんだぁ……私はすぐには治らないのに」


「触り方が悪いのかな…?」とおなまえはモブの手を注視する。
緩く上下する動きを見ておなまえは自分の体をまさぐってみた。


「シゲ君みたいに触れそうな所が……ぁ、」
「…?」
「胸ならできるかも」


「最近ちょっと大きくなったし」とスカートを捲り上げていた手でセーラー服のファスナーを開けて脱ぐと、キャミソールとブラジャーを捲ってみせた。
さらけ出される肢体にモブも自身を握る手に力がこもっていく。
ぷくりと存在を主張している胸の先をおなまえは自分で摘んでみた。
弱い力で引っ張ってみるが特に何とも感じない。


「んん〜…?気持ち良くない…」
「下の方が良さそう?」
「うん……でも、シゲ君は仕舞わない方がいいのかな」
「えっ」
「手、早くなってる」


おなまえはモブの手を取って代わりにモブ自身を握った。


「ダメだよ、シゲ君だけずるい」
「ご…ごめん…ぅ、…」
「私も気持ち良くなりたいよぉ…」


おなまえがもどかしそうに腰を揺らす。
緩めに扱かれながら手持ち無沙汰になったモブは時々熱の篭った息を吐きながら与えられる刺激を受け止める。
自分で握っていた時より弱いはずなのに、おなまえの手でされている方が快感が強い気がした。


「ね、ねえ…おなまえちゃん…僕も、触っていい…?」
「ん?」
「おなまえちゃんに触って貰うと、気持ちいいから…もしかしたら、他の人の手の方がいいのかも」
「…私が触るの、気持ちいい?」


おなまえの火照った瞳に問われてモブは頷く。
するとおなまえは嬉しそうに目を細めて、「触っていいよ」と更に距離を詰めた。
体が動いたことで捲っていたスカートが落ちると、今度はモブの左手がスカートを捲り上げておなまえの腰を抑える。


「下…触るの?」
「い…嫌かな…」
「シゲ君、の指…汚れちゃう…から…」
「…そう?」


おなまえがそう言うなら、とモブは胸の方に手を伸ばした。
ふにふにとした柔らかな弾力に気持ちが昂ってくる。
遠慮がちに揉んでみるが、おなまえは恥ずかしそうにしているだけで特に反応はない。
ツンと尖った先を指でくに、と摘んでみると先程自分で触った時とは違う鈍い感覚が走った。


「ん、ぁ…あれ…?」
「い…痛かった?」
「ううん…今の、自分で触ったのとちょっと違って…」
「…これ?」
「うっ…ん…、」


ピクリとおなまえの体が反応して、モブはスカートを抑えた方の手も腰から胸へとずらして両方の乳首を指で擦る。


「ぁ、っ…き…もちい…かも」
「よかった…」


捏ねるように弄ったり摘み合わせるようにすると、鼻にかかった声が漏れてくる。
チラ、と下腹部を見れば先程よりもじとりと水気を帯びていて、その様を見ているとモブの腰も疼いてくるようだ。


「おなまえちゃん…、もっと強く握って…」
「はぁ…ん、…こ、これくらい…?」
「っ…うん」
「シゲ君…も…濡れてきた…」
「…ぁっ…、」


おなまえの指がモブの先走りを親指で塗り広げる。
握り扱かれながら先を擦られるとモブも小さく声を上げた。
するとおなまえは笑みを浮かべる。


「…良いこと思い付いちゃった」


おなまえの手の動きに合わせて自然と揺れていたモブの腰に跨るように足を掛けると、おなまえは自分の秘部をモブの自身に押し付けた。


「私も気持ちいいと腰動いちゃうんだ…シゲ君のも濡れてきたし、おあいこだよね…っ」
「ちょっ…!…う、…」
「ぁ…ふ、…コレ、一番気持ちいいかも…ぉっ…」
「は…っ、ぁ…」


互いの性器を押し付け合いながら腰を揺らすと、ちゅくりと粘着質な音が上がってビリビリとした快感が巡っていく。
ヌルリと自身を擦られる感覚に思わずモブはおなまえの体を抱き締めた。
しかしおなまえはそれでも腰だけで動いて熱っぽい声を零す。
こんなに気持ちが良くなっちゃ、いけないんじゃないかと頭の奥では思っているのに、「シゲ君…っ」とすぐ耳元で掠れていくおなまえの声に煽られていく。
今までよりも意識に靄がかかるようで、次第に激しく腰を合わせていた。


「はぁ…っ、ぁ……!も、もういい…」
「……」
「んっ…シ、シゲ…も…」


ジンジンと響いていく快感の中、ゾクリとした大きな波の予兆におなまえがようやく動きを止めた。
いつもはここ迄きたら互いにやめて、それで済んでいた。
のに、モブはおなまえにチラと視線を寄越すとおなまえの肩口に額を当てて、腰を掴んだまま自身を擦り付けるのをやめない。
お互いの体の間でクチュグチュと絶え間なく音が鳴り続ける。


「んっ!ん、…はぁっ!…シゲ…だめぇ…何か…変、…変になっちゃう…ぅ」
「は…おなまえ…、っ…」
「や…ぁ!んく…んっ、……んん…〜〜〜っ!」


背筋が痺れる。
モブにしがみつきながら口許を抑えて声を殺すと、ピンと爪先が伸びて腰が震えた。
ヒクヒクと脈打つ互いの体の間にじわりと熱が広がっていく。
荒い呼吸を繰り返して、そっと離れると白く汚された腹とスカートが晒される。


「…ごめん…」
「あは…いいよ……何か、すごかったし…」


ティッシュでそれを拭ってくれるモブに代わって、秘部とモブ自身に纏わりついた愛液を拭き取った。
ゴミ箱に投げ入れると「もう帰る時間だ」とモブが呟く。


「…結局勉強しなかった…」
「ごめんごめん」
「別におなまえちゃんが大丈夫ならいいよ」


僕は範囲教わっただけだし、と身支度を整えているモブ。
おなまえはクローゼットから取り出した服に手早く着替えるとモブを見送りに門まで出る。


「それじゃあまた明日ね、おなまえちゃん」
「……」
「…?おなまえちゃん?」


門の内側で俯いているおなまえにモブが首を傾げると、おなまえが「明日は…」と小さな声で呟いた。
モブはおなまえの方に近寄って、門のすぐ前に立つ。
夕陽に染まった頬におなまえの睫毛の影が落ちている。


「明日はちゃんと勉強するから…その後…また、して…」
「…え……」
「今日の…。次は汚しても平気なようにしておく、し…」


だから、とモブを見上げた視線には期待が込められていて、また胸が早く脈打ち始める。
脳裏に数分前の劣情に塗れた姿が蘇り、ゴクリと生唾を飲み込んだ。


「おなまえ、ちゃんが…良いんなら…」






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04.11/性知識が浅めで人目を忍んで見せ合ったり触りあったりするのがクセになる二人



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