▼剥がし落とす




こんなの、何かの間違いに違いない。
それか夢だ。
こんな夢を見る程私は欲求不満だったのか?
それも相手が、コイツなんて。


「ぅ、ぐ…っや、やめて…ぇえ!」


堪えていた声が制止の声と共に漏れ出た。
クチクチとおなまえの中で島崎の指先が轟いて、意思とは関係なく反応してしまう。
そんな様子を、時たま愉快そうに島崎が喉を鳴らして笑う。


「やめて欲しい…って声じゃあ、ないですよ?」


わざと聞かせるように入口の方を指の付け根の平で擦り付けるようにして音を立てる。
おなまえが首を横に振ってその音が聞こえないよう身を捩り枕を掴むと、その枕を頭に押し付ける前に島崎の腕が阻んだ。


「ダメダメ。それじゃあ面白くない」
「は…っ、人の、体で…遊ばないで…っ!」
「真剣ですよ?…楽しんだ方が得じゃないですか」


「お互いにね」と低い声がおなまえの胸を震わせる。
ちゅう、とリップ音が立って胸元を何度も吸われると、頭の芯が甘く痺れた。
自然と更に息が乱れていく。
必死に息を吸うと、長い指先がおなまえの奥をなぞって踵が浮き上がった。


「っひ、ぃ…ん、…はぁっ!」


膝が震えて足を閉じようと力を込めても構わず中の指を動かされて、またおなまえの体が弛緩してゆく。
その様を笑顔を浮かべて島崎は"視ている"。
何処までが本気なのか、なんて思考も輪郭からあやふやにされていく。


「し…ま、ざき…ぃ」


乾いて粘つく喉に力を入れて言葉を発すると、暗がりの中おなまえの様子を窺うように島崎が首を傾けた。


「…な、んで…っ、こんなこと…ぉ、」
「何で。…何でねぇ…」
「あっ!、や…今、話してる、ぅ…っあぁ!」


滑りの良くなった秘所の先を親指の腹で押し擦られる。
強い刺激が体を走って、腕で口元を覆った。


「ならおなまえは、どんな理由で呼び付けられたかもわからないのに、何で着飾ってきてるんです?」
「ん、はぁ…、ぁ…っ……?」


朧に流されそうな頭を何とかつなぎ止めて、島崎の言葉を理解しようとする。
着飾る、なんて程のことは してない と、思いたい。
「そんなことしてない」と答えようとすると肉芽を摘まれて膝が震えた。


「ん、あぁっ!それ…やだぁっ…」
「嘘や誤魔化しは無駄ですよ。どれだけ一緒に仕事してたと思ってるんです?」


「嫌じゃない癖に」と耳許で囁かれヌルつく親指で押し潰されると、視界が明滅して思わず目の前の島崎に縋り付く。
満足気に喉を鳴らして島崎はおなまえの髪に口付けた。
髪から額、瞼、頬、首筋と徐々に下がっていって、短く息を吐くその肩で止まる。


「正直になればもっと楽しいですよ」
「は…っ、はぁ…、」


しがみ付いている島崎の背中に異議を唱えるように強く爪を立てると、「痛いです」と全く痛くなさそうな声。


「まぁ…おなまえがそれならそれで、私は楽しめますから」
「っ!?ぅぅ…、は、あ…っ」


徐ろに張り詰めた怒張がおなまえの中に沈められていく。
ビクッと反応し腰を逸らそうとすると逃げないように掴まれ、そのまま落とされてしまう。
異物感に胸が詰まって深く息を吐くと、その口を塞がれて更に奥まで侵入してくる。
上も下も逃げ場がなく、只管に受け止めるしかなくなっておなまえは揺さぶられる度にくぐもった嬌声を上げた。

認めないなら、わからせるまでだとでも言わんばかりに責め立てられて目先のことしか考えられなくなっていく。
ただこの腕に抱かれるのが気持ちがいいとしか、わからなくなっていく。


「んっ、ふぅ…ぁ…島…、」
「…本…当に…、…」
「あぁあっ!、〜〜ッ!」


島崎の肩に足を掛けられ、深く奥まで抽挿を繰り返されると中が島崎のを締め付けて何度もうねる。
歯を食いしばりながら律動を続けて、訪れた吐精感に身を委ねるとおなまえの最奥に熱を注いだ。
じわりと中から互いの粘液が混ざり合って溢れてくるのを感じて、おなまえはまた身震いする。
重たい瞼に任せて目を閉じようとすると、島崎の声がそれを止めた。


「まだですよ。まだわからせてないですから」
「でき、ない…っ」
「そうですか?」


「自覚できないなら」という声と共にグイっと体を持ち上げられて、視界が反転する。
今度は島崎を見下ろす形になって、おなまえは息を呑んだ。


「手伝ってあげますよ。何度でも、ね」


虚の瞳に視つめられ、おなまえはこの後の事を予感してしまう。
人が意識を失うギリギリまで、コイツは解放する気がないこと。
そして夜はまだ深まったばかりだということを。



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04.02/島崎裏



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