▼エクボとハネムーン




たくさんの人たちからの祝福と賛辞を貰った。
式が終わったその足で旅行先のホテルに向かい、荷物を降ろしてようやく肩から力が抜ける。
折角セットしてもらったヘアメイクに合わせてキレイめな恰好をしていたものだから、足や肩が辛い。
でもこれも幸せな忙しさだ。
わざわざ長めに特別休暇をくれた霊幻さんへの感謝を言いながら、私は早々にバルコニーでジャグジーの淵を陣取ってシャツを寛げているエクボさんに抱き着いた。


『オイオイ、折角の新婚ムードにアイツの名前出して水差すなよおなまえ』
「えっ水差しちゃった…?ごめんなさい」


エクボさんはすっかり見慣れていたはずのいつもの人の髪を掻き上げて、それがとっても似合っていてまた見惚れてしまう。
するとエクボさんは『さんざん隣で見てたろ』と笑って、呆気ている私の綺麗にまとめ上げられた髪から花の髪飾りをひとつひとつ外していく。


「真正面ではそんなに見てないもん…」
『それもそうか』


編み込みが解かれて、ラメスプレーを吹き付けられた髪たちがキラキラと輝く。
エクボさんの指がピアスに触れて、反対側のを外そうと私も腕を上げるとやんわりと手で防がれた。


『俺様がやりてぇの。じっとしてろ』
「は…はい」


言われるが儘大人しくしていると、エクボさんの手によって指輪以外の装飾品が取り除かれていく。
とうとうワンピースのファスナーが下ろされて、素肌が露わになった。
もうすっかり夜だけど、外な訳だし。
私は今少しずつ解放的になっていっているけれど、エクボさんはまだシャツのボタンを少し外しただけだ。
それが余計に恥ずかしくて、俯きたいのにエクボさんの視線がそれを許さない。
いっそ目を閉じてしまいたいとも思った。
でも私を露わにしていくその目が、とても愛おしそうに細められるから。


「エクボ…さん…」
『…そう物欲しそうにするな。楽しみてぇだろ?』


ずっと禁じられていたこの先ができる。
そう思うだけで胸が高鳴って、目も潤んできた。
私が纏う最後の一枚が床に落とされて、エクボさんがようやくジャケットを脱ぎ始める。
待ちきれなくて私はその唇に被りついた。


『コラ、おなまえ。待てだ待て』
「……」


そのまま貪ろうとする私の顔をエクボさんが止める。
まるでペットを躾けてるみたいな言い方で、軽い口調だけれど窘められてしまったから私はそれ以上何もできなくなった。
待つこと以外は。

もう私、十分待った。
エクボさんと知り合って、付き合って、婚約者になってもずっと引かれていた一線。
なのにまた更に待てだなんて。

私の気持ちが透けて見えたのか、『何年も待てたんだ。出来るよな?』と試すような口振りで言いつける。
この一瞬くらい。今までの時間に、比べたら。
私が深く頷くとエクボさんは私の頬を撫でて『いい子だ』と褒めてくれた。


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「…ぅ、あっ!は…!」


ギシギシとベッドが軋む。
絶えず荒く息を吐き出す私の口から、息に紛れて掠れた声が漏れ出続ける。
挿入だけが許されなかった私の体はすっかりエクボさんに解き明かされていて、彼が思う通りのタイミングで中に埋まるエクボさんを締め付けた。
ヒクリと喉を反らすと、噛み付かれるようにエクボさんが喉元に唇を寄せて私のお尻を掴む。
低く呻くような声が僅かに零れて、エクボさんの腰が震えるとお腹の奥がじわりと熱を持つ。


「ん、ぁっ!お、なか、熱…い……っ」
『あー…イイわ……こうやって、おなまえがどんどん俺様のモノになっていくのは本当に気分がイイ…』


年越しの時間を掛けるだけの価値があったと、エクボさんは笑いながら未だ萎えることを知らない逸物をそのままに律動を再開する。
ゆっくり中でエクボさんの精液と私の愛液が混ざりあって、抽送の度に溢れていく。
まるで中にエクボさんのを塗り付けられてるみたいですごく興奮する。
私がそう思って体を震わせると、エクボさんの掌が私の臍の下を小刻みに揺らした。


「ひっ!?あ、あっあっ…や…!」
『俺様いい事思い付いたぜ、おなまえ』
「いい…っ、こ、と…?」
『次はよ』


奥深くに沈んだエクボさんが私の最奥を何度もノックする。
それに合わせて掌を動かされると、外からも内からも振動が子宮に響いて爪先がピンと伸びた。
私のがエクボさんを締め付けて、またピッタリと奥に注がれる。
火傷しそう。
胸や喉や頭の奥まで痺れるみたいで堪らない。


『射精しただけでイケるようにしてみるってのはどうだ?』


目に溜まった涙でエクボさんが揺れて見える。
激しく呼吸を繰り返す私の様子が少し収まると、またこの行為が再開された。
「どうだ?」と口で聞かれてこそいるけれど、私に拒否権なんて勿論無い。
この人が私に命じてくれることならなんだって享受できる。
そういうようになってしまったから。

イキすぎて掠れ始めてしまった声で、「はい」と返事をすると、彼はまた『いい子だ』と口付けてくれた。




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04.02/守衛エクボと結婚&初夜



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