▼主従のような独占欲

グルグルと上機嫌に喉を鳴らすガムちゃんの顎を撫でる。
クッキーちゃんは魔津尾さんの隣でお利巧に座っている。
最初はドン引きしてたこの子たちにも、会う度に慣れて今では可愛く思えてくるから不思議だ。


「魔津尾さんってペットの躾うまそう」
「…扱い、じゃなくて躾なの?」


コクリと深く頷く。
お行儀がいいのはこの二匹だけではない。
それ以外の悪霊たちだって皆魔津尾さんの意のままに動く。
それで皆魔津尾さんが大好きだから、魔津尾さんも平等に悪霊たちを愛してる。
腰のゴーストカプセルの全てを管理するのは大変なので、時たま私もお手伝いをするのだ。


「もう何回もお手伝いしてますけど、最初の時だって私が相手でも皆わがまま言わずにお世話させてくれましたし…。それって魔津尾さんがそう躾けたんじゃないんですか?」
「ああ…そういうこと」


「なんてことないわよ」と魔津尾さんは言う。


「貴方の霊素美味しいから。みーんな喜んでるわよ」
「…え?私食べられてたんですか?」
「あら気づかなかったの?」
「全然…いつの間に食べてたのグミちゃーん!」


ムニュムニュとグミちゃんのほっぺを弄ると、さっきより大きくグルグルと喉が鳴った。


「どうりで魔津尾さんのお手伝いするとヤケに疲れるなって毎回思ってたんですよね」
「この数の使い魔ちゃんたちを満足させられるんだから、いつも助かってるわよ。ありがとうねおなまえ」
「魔津尾さんのお役に立てて私も嬉しいです!」


そう言うと魔津尾さんは組んだ足を組み替えて微笑む。


「本当に人間なのが勿体ないくらい可愛い子ね」
「流石にもう少し生きてたいです」
「冗談よ」
「あ、でも死んでも永久就職先が決まってるのは安心かもです」
「……そうね。アナタならきっと蠱毒も切り抜けて立派な使い魔になれるわよ」
「そしたら魔津尾さんに躾て貰えるんですか…?」
「…そんなに躾て欲しいの?」


期待されても特別なことはしてないわよと言いながら、魔津尾さんはデスクの引き出しから赤いリボンを持ってきた。
私のすぐ前に立つと、そのリボンを私の首に結びつけていく。
綺麗にリボンが結ばれると、「似合ってるわ」と満足そうに笑う。
桜威さんからしたら気持ち悪いと言われるこの顔、私好きだ。


「大事にします…!」



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02.21/妹分的夢主を甘やかす



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