▼エクボと子作り




『やっと寝てくれたぜ…』


スヤスヤと健やかな寝息を立てている我が子を起こさないよう細心の注意を払いながら、エクボは子供部屋の扉を閉めた。
その様子をクスクスと笑っておなまえは「大変だったでしょう、お疲れ様」と主人を労わる。


「もうエクボさんでも寝る時嫌がらなくなったね?」
『寝付く限界まで"ママ、どこ?"って延々聞いてくるがな』
「ウフフ…大丈夫だよ、何だかんだパパ大好きだもの」
『どうだろうなぁ…男の子ってのは結局一番は母親ってなもんだろ?』


サイドテーブルの灯りを頼りに本を読んでいたおなまえの隣に腰掛けると、ソファーカバーの内側で革張りの座面が僅かに軋んだ。
エクボがふぅ、と息を吐けばおなまえが「お酒、飲む?」と聞いてくる。
エクボはそれに首を振ると、背面に肩をかけて『俺様よぉ』と口を開いた。


『まさか自分が父親になれる日が来るなんて思ってもなかったぜ』
「夢にも?」
『夢…には、見たかもなぁ』


『どの時分か覚えちゃいねぇが』と零しながら喉を鳴らして笑うエクボにつられ、おなまえも笑みを浮かべるとソファーに預けていた肩にエクボの手が触れる。


『肉体を持って、感覚があって、意思の疎通もできるってのに、それ以上のものをお前さんから貰った』
「…エクボさん…」
『……でもな、俺様やっぱり欲しがりだからよ』


エクボの言葉におなまえが胸をジンと震わせていると、ニヤリとエクボの口端が上がりおなまえの肩に触れた手に力が込められた。
直後おなまえの体はふわりと浮かんで、それがエクボに抱えられたのだと気が付くと「えっ!エクボさん!?」と驚いた声を上げる。
おなまえがそれ以上声を上げないよう『シーッ』と制すると、顎で子供部屋を示して『起きちまうだろ』とエクボは一瞬だけ真面目な表情に戻った。
慌てて口に手をやって子供部屋のドアを見つめるが、どうやら起こしてしまってはいないようでしん、と静まり返った室内を確認するとエクボは寝室に向かっていく。


「エクボさんが欲しがりなのと抱っこされてるの、何の関係が…あ。甘えたい?」
『ん?……そーだな、甘やかして貰いてぇな。めいっぱい』


ふと目を丸くさせたエクボは再び意地の悪そうな笑顔を浮かべておなまえをベッドに下ろした。


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何かおかしい、とおなまえが違和感を覚えたのは行為の間中エクボがニヤニヤと笑みを絶やさないことに始まり、すんなりと受け入れていた指が引き抜かれた時だった。

なんとなくいつもよりも興奮しているような…。

そう思って荒く息を吐きながら尋ねる。


「エ…クボ、さん…?どうか、した…の?」
『…おなまえ…』
「ん…はぁ…、っ」


唇を重ねられて熱い舌が交わると、頭の中心が痺れるようで鼻にかかった声が漏れた。
ちゅ、と離れ際に唇が吸われて余韻が唇に残る。
おなまえは潤んだ瞳でエクボを見上げ、答えを待った。


『…俺様、…娘も欲しくなっちまった』
「…むすめ…、えっ?」
『からよぉ』


濡れた秘部に直接熱が触れる感触におなまえは視線を下ろす。
数分前まで口で愛撫していた逸物と何の妨げもなしに擦り合わされて、ドクリと鼓動が高まった。
戸惑いながら再びエクボを見つめれば、『二人目作ろうぜ』と犬歯を覗かせて笑っている。


「そ…んな、急に言われても…っ」
『家族が増えんの、嫌か?』
「嫌じゃない!嫌じゃ、ないけど…でも…!」


タイミングが、とか
息子のことを考えてから、とか
そもそも次が女の子とも限らないし、とか
おなまえは困惑しながらも思い留まってみよう、とエクボに提案した。

家族が増えるのは嬉しいし、愛する人となら二人でも三人でも授かれればとも思っている。
けれどもう少し事前に話し合って、二人で考えてみてからにしよう、とおなまえが言うとエクボは『タイミングならよ…』と見下ろしてきた。


『幼稚園も決まったし、おなまえは排卵日だし、生活もそこそこ落ち着いて来たろ?』
「そう…だけど……えっ、何で私の…」
『匂いでわかる』
「!?」


ベッドサイドのゴムをしまってある引き出しに伸びるおなまえの手首を掴むと、エクボは動けないように枕元に押し付ける。
弱々しく名前を呼んでくるおなまえの入口に自身を当てこすりながら『産み分けってのはよくわかんねぇけど』と嬌声を堪えようとしているおなまえに笑みを深めた。


『もし次が男でもよぉ…』
「…っ、ぁ…ん、んっ」
『そしたらまた励めばいい』
「う…ぅ…」
『…なあ、良いだろ…?』


自由な方の手の甲を口に当てて我慢しているおなまえの耳許に口を寄せる。
自身に触れている入口がヒクリと反応して、おなまえの腰がもどかしげに揺れた。
問い掛けに迷う素振りを見せながらも、体はすっかり主に埋められることを待ち侘びていておなまえはエクボと目を合わせる。
挿入しないままおなまえの返事を待っているエクボに先程までのニヤけた笑みはなく、真っ直ぐおなまえからの視線を受け止めていた。
しばらくそうして見合っていたが、とうとう根負けしておなまえは「…わかった」と小さく言う。


「私も…女の子、欲しいです…」
『同じ気持ちで嬉しいぜ…っ』


ヌルヌルと愛液を纏わせていた自身をゆっくりとおなまえの中に沈めて、エクボは久し振りに直接迎え入れられる感覚に息を吐いた。
その様が色っぽくて、おなまえも自然と期待を高める。
柔らかく解された秘所の奥まで難なく自身が突いてきて、甘い声が上がった。


「んあっ!あぁ…、はう、ぁっ…エクボさ…!」
『…はぁ……、』
「きもち…い…っ、ひぁ!ああっ」
『俺様、も……っ!』


腰を抱かれて角度を固定されると、打ち突かれる度に痺れが巡る場所に当たって嬌声に艶が増していく。
エクボの首に腕を回してしがみつくと、噛み付かれるような口付けが降ってきて密着感が高まった。
苦しさと快感にいっぱいいっぱいになっている内に、ゾワリと体が震えて背を反らす。
差し込まれていた舌が顎先を伝って首筋を舐めると、中に埋まっていたエクボ自身を強く締め付けた。


「あ"ぁっ、イ…ク、…はぁ…ぁあっ!」
『…ぐ…っ……、…』


喉が絞られたように息が抜けていくと、エクボも息を詰めて腰を抱いた手に力を入れる。
グッと腰が押し付けられると同時に締めた中で自身が震えて、射精する最中もまるで精液を塗りたくるように深く奥をグリグリと穿たれた。
追い討ちを掛けられるような快感におなまえの瞳から涙が溢れると、ペロリとその雫を舐め取られる。


「はぁっ…ん…、あっ…エク、ボさん…」
『…へッ…、まだイケんだろぉ…?』
「う、や…っあ!」
『嫌、なんて言うように躾けた覚えはねぇが?』
「あぁあっ、…は…い…!」


数年ぶりに聞いた強い口調に、体は自然と反応を返す。
一気にぶり返す疼きに悶えながらも貪欲に快楽を欲し始めるおなまえの様子を見て、『染み付いてるみたいで安心したぜ』とエクボは目を細めた。





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04.11/二人目が欲しいエクボのわがままに夢主が流される裏



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